
30万部ベストセラー『失踪日記』から8年をかけて執筆された、
失踪後の顛末を描く続編『失踪日記2 アル中病棟』──
感銘を受けたとり・みき氏が、著者の吾妻ひでお氏に迫ります。
失踪後の顛末を描く続編『失踪日記2 アル中病棟』──
感銘を受けたとり・みき氏が、著者の吾妻ひでお氏に迫ります。
ほんと酒は怖い!(笑)
とり 今回はすごく絵が細かいでしょう。1コマの中に、こんなにたくさん人間を描いてるマンガがあるんでしょうか今どき(笑)。
吾妻 単行本になる(=原画が縮小される)ってことを考えないで描いてたね(笑)。いや、描いてる時はわりと楽しいんだよ。申し訳ない。
とり いえいえ。1コマ1コマ、読み飛ばすことができなくて。じっくり読むといろんな発見があるんですよね。今こういうギャグタッチで、しかも全編にわたってかっちりした背景が入ってるマンガって無いでしょう。『失踪日記』でも言いましたけど、キャラクターはほぼ全身フルサイズで入っていて。
吾妻 『失踪日記』の時はコマが1ページ4段だったんだけど、今回は3段にして。そしたら余裕が出るかなと思ったら、結局それに合わせて描き込んじゃった(笑)。
とり 自分も締め切りがキツい時ほど描き込んじゃいますね。「完全主義者は身を滅ぼす」っていうセリフがあって、身につまされました。

吾妻 昔は締め切りに間に合わせるのを、最優先にしてたんだけどね。
とり ああ、だから逆にそのプレッシャーで失踪された。......ご自身のキャラクターが2等身だったのが、今回は3等身になってたり、全体的にリアルになってるのは、これはあえて──
吾妻 あえて。5年くらい前からデッサン教室に通ってるっていうのもあって。
とり それは何か思うところが?
吾妻 絵が上手くなりたいと思って(笑)。あと絵の学校とか行ってないから、そういうあこがれもあって。
とり スクールライフに。
吾妻 西原理恵子だって美大ですからね。自分もそういう雰囲気に浸りたいなあと(笑)。すごく楽しかったですよ。
とり いわゆるデッサンと、マンガの絵は全然違いますよね。
吾妻 そう、だから全然描けないんですよ。絵がマンガになっちゃう。そこからリアリズムに近付くのに、1年掛かったな。もちろん、マンガの中でそこまでリアルを追求しようっていうんじゃないんだけど、そういう勉強も経験しておきたいなと思って。
とり 作中に、入院中に描いた絵っていうのもあって。

吾妻 ああ、ひどいミャアちゃんの絵が。これは本当に当時描いたのを、切り抜いて貼ったんだよ。
とり でもこれくらい描けないということは、日常生活にも支障があったんですか。
吾妻 いや、日常生活はなんともないんですよ。まあ末梢神経がしびれるとかね。
とり ぼくも最近手足がよくつるんですけど......まずいですか。講義のところ(46頁)で「えっ!」って思ったんですけど。お酒呑んだ時になるんですよ。

吾妻 ああ......気をつけたほうがいいよ。
とり そんなに呑んでるわけじゃないんですが。むしろ呑まない日のほうが多いくらいで......夜中にラーメン食べるからかなあ。
吾妻 ああ(笑)。
とり 夜中に焼きそば食べる人の話があるでしょう。あれ読んで「まずいな......」と。
吾妻 糖尿病になっちゃうからね(笑)。
