
吾妻ひでおさんの最新作『カオスノート』は、
著者の本領発揮である、日記形式のショートナンセンスギャグ集。
なぜ今ナンセンスか。そして失踪日記・アル中病棟との関連は?
著者の本領発揮である、日記形式のショートナンセンスギャグ集。
なぜ今ナンセンスか。そして失踪日記・アル中病棟との関連は?

『アル中病棟』から『カオスノート』へ
──『カオスノート』の刊行おめでとうございます。『アル中病棟』に続く新作ということで。
吾妻:もともと『失踪日記』が出たあとに、息抜きのつもりでナンセンスギャグをホームページに載せてたんだけど、何本か描いてすぐに力尽きた(笑)。それでずっとほったらかしにしてたけど、『アル中病棟』の原稿が上がった後に、また描きたくなって。
──『アル中病棟』を脱稿されたのが、確か2012年の年末でした。
吾妻:本当に終わらないかと思った。
──7~8年掛かりましたからね。もちろんその間、他の仕事もたくさんされていたわけなので。
吾妻:『地を這う魚』もあったし。他にもいろいろと……『失踪日記』が売れたから、いろんな仕事が来て、それで読者から二番煎じとか内容が薄いとか言われた(笑)。わかってるけどいろいろあるんですよ。義理とか人情とか。
──それで2012年の12月に『アル中病棟』の原稿を一度上げていただいたんですが、結局本が出たのが翌年の10月。
吾妻:キャラクターが多すぎて、名前が途中であちこち入れ替わってるのに気づいて全部直したり、その後個人が特定されないように、またぜんぜん違う名前に全部付け替えたり。
──金杉先生(病棟の担当医)にチェックしていただいたり、あと装丁作業に時間が掛かったりで。
吾妻:カバーのラフは、2回もボツが出たね。
──すみません。鈴木さん(鈴木成一:装丁家。『失踪日記』『アル中病棟』『カオスノート』を手掛ける)から、「もっと細かく描いて」「もっと細かく」という指示が出てしまい。
吾妻:ラフはいいんだけど、本番のイラストを描くのが大変だった。でもすごくきれいな色に仕上げていただいて、非常に気に入ってます。表4の下の方、トリミングで絵が足りなくなってちょっと杜撰な感じになってるのもいい(笑)。カッチリしすぎてない感じが。『カオスノート』も彩色のブルーがすごくきれいで。『失踪日記』もだけど、このシリーズは本当に色使いがいいと思います。
──それで『失踪日記』後、『アル中病棟』の刊行まで約8年。しかし『カオスノート』はそれから1年未満での刊行となりました。『アル中病棟』は絵の密度が非常に高かったということもあると思いますが、それにしてもこのようなハイペースでの刊行がなぜ可能に?
吾妻:企業秘密です。
──『カオスノート』と同時期に、『ひみつのひでお日記』(KADOKAWA)も出ますしね。すごく働いていらっしゃる。
吾妻:あれはほとんどWEBに描いてたものなんで……描き下ろしもありますけど。あと例の『けいおん!!』のアニメに文句言ってるところは入ってない。「あれだけは勘弁してください」って言われた(笑)。だからそこは同人誌で出したけど。
──最近見ているアニメはなんですか。
吾妻:『目玉焼きの黄身いつつぶす?』とか。あとアニメじゃないけど島本(和彦)さんの『アオイホノオ』、笑えて泣けるドラマです。