吾妻ひでおインタビュー 失踪日記、アル中病棟、そしてカオスノートへ。 吾妻ひでお 吾妻ひでおインタビュー 吾妻ひでおさんの最新作『カオスノート』は、
著者の本領発揮である、日記形式のショートナンセンスギャグ集。
なぜ今ナンセンスか。そして失踪日記・アル中病棟との関連は?
吾妻ひでおさんの最新作『カオスノート』は、
著者の本領発揮である、日記形式のショートナンセンスギャグ集。
なぜ今ナンセンスか。そして失踪日記・アル中病棟との関連は?


「取材旅行」はまたしてもいい




──推薦コメントの寄稿者のひとりである吉田戦車さんは、「崖シリーズが一番好きです」と言われていました。吾妻さんご自身のお気に入りはどれでしょう。

吾妻:「旅シリーズ」と、あと「散文詩シリーズ」かな。








──そういえば『カオスノート』では、その旅シリーズやアル中ネタなど、『失踪日記』『アル中病棟』でのモチーフをメタ的に取り込んでいる部分も見られますね。

吾妻:そういう意味では、つながっている部分もあるかもしれない。

──実際に旅行したりするんですか。

吾妻:全然。駅の周辺をうろうろするくらいで。本屋とか、図書館行ったり。……でも「取材旅行」はまたしてもいい(※かつて吾妻氏は取材旅行と称して失踪しました)。無目的にどこかに行くっていうのはいいね。今度はちゃんと家族に断ってから行く(笑)。

──アル中ネタでも、「もう断酒やめた」みたいなのがあって、ギャグとは知りつつも一瞬心がざわめきました。





吾妻:実際に飲みはしないけど、アル中の深層心理が出たのかもしれない(笑)。ただ、夏にビールのCMを見るのはキツイね。あれでスリップ(再飲酒)する人も多いらしいよ。

──ネタはどういう時に思いつかれるんですか?

吾妻:散歩の時、テレビ見てる時、寝る前、机に座って、とかいろいろです。

──常に考えている感じですか?

吾妻:いや、なんとなく思いつくから、それをノートに書き留める感じです。『カオスノート』の時はネタ帳が3冊分くらいになったけど、全然使ってないのもたくさんある。

──まだまだアイデアはたくさんある。

吾妻:そうでもなくて、やっぱりどうにも広がらなくてボツにしたのがほとんどで。

──妖精のとか、ここまで描いてるのに自らボツにされてますよね。





吾妻:妖精がかわいく描けなかったから。

──……そうですか?

吾妻:これは駄目。プロが見るとわかる(笑)。かわいい女の子を描きたいとずっと思ってるんだけど、なかなか描けなくて……。江口(寿史)さんとか本当にうまいね。前に個展で絵を見た時もつくづく思ったけど。

『カオスノート』(吾妻ひでお著/イースト・プレス刊)

「楽しんで描きました」(吾妻)

失踪日記、アル中病棟、そしてカオスノートへ。意外なハイペースで刊行された新作は著者の真骨頂、めくるめくセンス・オブ・ナンセンス──日記形式のショートギャグです。「居心地の良い、ソフトカオスの世界」と高橋留美子さん、「箱庭のようなアズマワールドが沁みた」と吉田戦車さん、「吾妻ひでおの最高傑作がまた現れた! 」と東浩紀さんも大推薦。





『失踪日記』(吾妻ひでお著/イースト・プレス刊)

「全部実話です(笑)」(吾妻)

突然の失踪から自殺未遂・路上生活・肉体労働──『アル中病棟』に至るまでの波乱万丈の日々を綴った、今だから笑える赤裸々なノンフィクション。第34回日本漫画家協会賞大賞・平成17年度文化庁メディア芸術祭マンガ部門大賞・第10回手塚治虫文化賞マンガ大賞・第37回日本SF大会星雲賞ノンフィクション部門受賞。





『失踪日記2 アル中病棟』(吾妻ひでお著/イースト・プレス刊)

「病棟は、楽しいよ」(吾妻)

度を越した飲酒でアルコール依存症になってしまい、担ぎ込まれた通称『アル中病棟』。入院してわかったお酒の怖さ。そこで出会ったひとくせもふたくせもある患者や医者たち。かわいくて厳しいナースたち。そしてウソのようで本当の、驚くべきエピソードの数々。そこから著者はいかにして、アルコール依存症から抜けだしたのか? 30万部ベストセラー『失踪日記』から執筆8年、満を持しての続編。


吾妻ひでお(あづま・ひでお)

1950年2月6日、北海道出身。上京後就職するもほどなく退社。漫画家板井れんたろう氏のアシスタントを務め69年にデビュー後、『ふたりと5人』『やけくそ天使』などのギャグ、『パラレル狂室』『メチル・メタフィジーク』『不条理日記』(79年、第10回日本SF大会星雲賞コミック部門受賞)などの不条理・SF、『陽射し』『海から来た機械』などのエロティックな美少女ものなど様々な作風で各方面から絶大な支持を得る。『ななこSOS』『オリンポスのポロン』はアニメ化された(両作品とも05年にハヤカワコミック文庫で復刊)。89年に突然失踪、その顛末は05年『失踪日記』として発表され、第34回日本漫画家協会賞大賞、平成17年度文化庁メディア芸術祭マンガ部門大賞、第10回手塚治虫文化賞マンガ大賞、第37回日本SF大会星雲賞ノンフィクション部門を受賞。近作に『うつうつひでお日記』『ぶらぶらひでお絵日記』『逃亡日記』『地を這う魚』『実録! あるこーる白書』 (西原理恵子と共著)、Azuma Hideo Best Selectionシリーズ等。