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江戸時代のベストセラー『豆腐百珍』に挑戦したこざるさん。
単行本ではくるねこ大和さんにも1品挑戦いただきました。
日頃から仲良しなお2人による豆腐対談です。






さて、江戸時代のベストセラーレシピ本『豆腐百珍』に挑戦いたしました『豆腐百珍 百番勝負』の単行本化を記念して、くるねこ大和さんにお越しいただきまして、花福こざるさんとのスペシャル対談をお送りします。


――この度、こざるさんの頑張りによって、100品作り終え、漫画も描き終えて、無事単行本化(2014.5.17発売)することになりました!こざるさんお疲れさまでした。
 また、実はこの『豆腐百珍 百番勝負』の中で、くるさんにも一品挑戦していただいているんですよね。一日煮る、すごい面倒くさいやつ(六十三 茶れい菽乳)をお願いしまして…。

くるねこ大和(以下 くる) ほんとに面倒くさかった(笑)。面倒くさいっていうよりも、まあ、ふくさ味噌を使ったじゃない? 普段はあんまり使わないんだけど、豆腐が半分つかるだけの量を使わないといけなくて。

花福こざる(以下 こざる) 結構使った?

くる うん500gぐらい使ったかも。1パック半分ずつ使ったので、合わせて500gぐらい? 血の涙を流しながら使いましたよ(笑)。
 まあ、ちょっと吹っ切れたものはあったけど。

――こざるさんも、何個か一日中煮るのありましたね。

こざる はい。3つぐらいありましたね。
  
くる 昔はさ、熾火っていうか種火をきらさないようにしていただろうからさ、(一日中煮るってこと)どうでもないことなんだろうね。

こざる その後その味噌使った?

くる うん、使ったよ。ほぼ味噌のままだから、変なもの入ってないからさ、また何か煮たり。

こざる 意外と「豆腐百珍の料理」て美味しかったでしょ?

くる うん、美味しかったよ。美味しかったんだよね。(一日中煮て)美味しくなかったら、いっそ清々しいしね。

こざる 美味しいんだよね。

くる そう、美味しかったんだよ。

――こざるさん、100品作っての感想はいかがですか?

こざる 意外と楽しかったです。

くる どこらへんから、ランナーズハイが起きてきた? っていうか、横っ腹痛くなってきたのっていつ?

こざる (笑)五十ぐらいから? なんか作るのは、結構大丈夫だったんだけど、(漫画を)描くのが、大変だったね。

くる そうだよね。

――そもそも、くるさんに1品お願いしたのは、(単行本の中にも出てきますが)こざるさんとくるさんが電話してて、この『豆腐百珍』の企画を話したことからですよね。
 くるさんは、『豆腐百珍』のことはご存知だったんですよね。





くる あの、知らないかもしれないんですが、私、実は元々パッケージデザイナーだったんですよ(笑)。
 で、食品関係のものが多かったんで、会社にだいたいの食に関する本があったんですね。で、そこに『豆腐百珍』もあって、読めねえよみたいな原版に近いやつ。まあ、もともと有名な本なんで知ってたっていうのもありますね。『卵百珍』みたいなものも会社にありましたし。
 だからね知ったのはね、22、3(歳)ぐらいでしたね。

――こざるさんは、ご存知でしたか?

こざる いや、小林様に言われるまで知りませんでした。
 でも、言われてから今まで読んだ本の中にいっぱい出てきてたのを発見しました。
あ、ここにも、こんなところにも、みたいな。

――今回くるさんにまるまる挑戦していただいた1品の他にも、こざるさんとくるさんで何品か作っていただきましたよね。オシャレなキッチンスタジオを借りまして。

くる ああ、あの日作った青のりのやつ、すごく美味しかったんで、家に帰ってまた作ってみたんですよ。でも二度と作れなかった(笑)。

こざる 作れなかったの? なんでだろう?

くる うん。あれはビギナーズラックだったのかも。ゴマ油とね青のり買って来てさ、作ってみたのに。あれ? 苦い! みたいな。あん時だけのミラクルだったのかも。

――でもあの日のくるさんの盛りつけっていうのが半端なく素敵でしたよね。

こざる そう。それまで全然盛りつけなんて考えてなかったから。びっくりして。凄すぎて。こうやるのかって思って。

――写真載せていいですか?

くる どうぞどうぞ!



見よ!この麗しい盛りつけを。


くる そうそう、さっきも言ったけど『豆腐百珍』の他にね、『卵百珍』っていうのがあるんだけど、その『卵百珍』を実際作ったことのある人にね、30歳を過ぎた頃に会えたんですよ。

――卵百珍も面倒くさいんですかね。

くる 面倒くさいよ。
  
こざる 卵も100種類作ったってこと?

くる そう。プロの仕事はやっぱり違う。淀みなく料理するし、処分するのも思い切りがいい。

こざる そういうのは私たちダメだよね。

くる ダメダメ。捨てるのはね。

――そういう方だったら、四番の結び豆腐も結べたかもですね。

くる うん。結べたかもしれない。

こざる 結べなかったやつだって、ちゃんと食べましたよ! 味噌汁の具とかにしました。





――でも100品作るって大変かもしれないですが、豆腐も卵も、あんまり食べ物の好き嫌いが少ない食品ですよね。

こざる あ、そういえばくるさん卵好きだよね。

くる うん大好き。「今日は何も考えないでいいから、なんでも好きなもの食べなさい」って言われたら、ご飯と卵しか食べない(笑)。

こざる 生卵? ゆで卵?

くる ゆで卵(笑)。ゆで卵と卵焼き。あ、半熟ゆで卵と卵焼きと白いご飯、と醤油。

――卵かけご飯は?

くる あ、それはダメなんだよね(笑)。

こざる 別なんだ!

――こざるさんは、ナッツ類が好きですよね。

こざる はい。ナッツとチーズですね(笑)。

――そういえば好きな物って言えば、キッチンスタジオを借りて作った時に、くるねこさんがほうれん草が好きで、毎日食べてたらアレルギーになったとおっしゃってましたよね。

くる そうそう。アレルギーになったってことをまだあんまり言ってないから、送ってくるんだよ。おっかあから(笑)。
 それがまた生の強そうな、しっかりした、えぐみの強そうなさ、いいほうれん草なのよ。

こざる あれ? 旦那さんもダメになっちゃったんだっけ?

くる そうそう。かゆくなったりしても掻きむしるほどでもないから、実験的に食べてみるんだけど、サラダほうれん草だったらなんとかいけるって感じですね。

――こざるさんはアレルギーは?

こざる 私ないですね。イカの皮をむく時にかゆくなるぐらい。

くる あ、なるよね。私も指にね湿疹とか出やすいんだけど、イカをむいてると真っ黒になっちゃうんだよね。
 あれ? 今イカの話じゃないよね。豆腐だよね(笑)。

――(笑)。
 イカ出てこなかったですよね。豆腐百珍の中にも。

こざる そうですね。鯛とか海老とかは出てきましたけどね。

――しかし、この豆腐百珍って、本当に昔の人はこういう面倒くさい料理作って食べてたんですかね。

くる いや、この人(著者の何必醇)は通人なので、この本自体、道楽本に近いので、こうやって作ると美味しいよ、とかではなくて、当時としてはおしゃれというか、通なものとしての提案というか、お金も持ってる人だろうし。

こざる 後半部分に「海老がなかったら、伊勢エビを使え」ってあって。

くる おめぇはなんだ、マリーアントワネットか何かか(笑)。

――でも、いろんな豆腐料理が載ってるから、読み物としても面白いですよね。
この間、(連載の十一、再び田楽)くるさんから豆腐田楽は愛知のほうでは普通に食べるよ、っていう情報がありましたね。

くる この間ね、スーパー行ったらね、田楽用の豆腐が売ってた。

こざる 硬いやつ?

くる なんかね、ちょっと硬くて、もしかしたら違うかもしれないけど雰囲気的にね、おからを混ぜてあるような、そういう見た目だった。

こざる 普段も食べるの?

くる 地域によるけど(愛知の上のほう?)、年中食べてるようなところもあるね。好きなんだろうね。

こざる 初めて聞いたよ、豆腐田楽って。でも鬼平(鬼平犯科帳)に載ってて、この世界だけの話だと思ってた。

――鬼平に載ってるんですか?

こざる 載ってるんです。菜めしと田楽って。

くる 菜めしと田楽は仲良しさんだからね(笑)。
 愛知県のね、上のほうは、特有の食文化があって、豆腐田楽と、いわしの干したやつが好きなんだよね。大晦日はいわしを食べたり。

――独特なんですね。

くる 独特かも。なんかね、どうも最近その地域の文化が強くなってきていてね、うちは名古屋の真ん中らへんなんだけど、スーパーで田楽用の豆腐は出るし、大晦日もいわしが干物やで売られてたり。

こざる なんか北関東と全然違うね。うちは北関東だから、なんか、名古屋みたいな華やかさと全然違う。

――違いますね。でも、何必醇さんは京都の方っぽい感じですよね。

くる そうね。上方っぽい感じだよね。

こざる そうそう、京都のネタが結構出てくるんだよね。

――なんか、あと江戸をばかにしてるっぽいところがありますよね(笑)。

こざる ありますね(笑)。一番美味しいのは京都のどこどことか出てきますからね。

くる そういう部分あるでしょうね(笑)。東下った田舎者め、みたいな。

――でも今でも京都の豆腐は美味しいと言われてますよね。

こざる 南禅寺豆腐とか。水がキレイだからとかかな?

くる 水の質が違うんだよね。関東は硬水に近く関西は昆布の旨味が抽出しやすい軟水。
 まぁ水云々は別として、帝のおわす上方と、東下った江戸では諸々において格が違うと意識してただろうね。

――ああ(一同納得)。

くる 江戸があんなに繁盛するとは開闢した本人も思っていなかったのかもね。家康頑張った!(笑)
 江戸でも、いわゆる贅沢品なんかは、はんなりした口調の上方の人が営業した方が売れた。料理人も上方で修行したとなれば箔も付いてギャラも高かった。
 『豆腐百珍』も、ちょいちょいそんな匂いがする(笑)。なんか、風流でおしゃれ。

――うん、おしゃれですよね。盛りつける茶碗指定とかありましたしね。

こざる 「楽焼の茶碗を使え」みたいな。持ってねえし!と思って。なんでしたっけ? 小林様に調べてもらった。

――柚味噌皿?

こざる ああ、そうそう。柚味噌皿とか。懐石で使うやつとか。

くる なるほどねー。

――でも、昔の人って結構美味しいもの食べてたんですね。

くる そうだね。へんなもの入ってないしね。

こざる 防腐剤とか添加物とかね。

くる そうね。

――すぐ作ってぱっと食べるみたいな。保存が効かないですもんね。

くる そうね。私すぐ死んでたと思う。

こざる (笑)。

くる 私ね、すぐ食べ物にあたるんですよ。すぐにね。なんかあるとね、あたってしまうんだよね。

――サバとか? ですか?

くる いやね、あたりそうじゃないものであたるの。あたりそうなものは用心するじゃないですか。だからそれ以外で。
 一番びっくりしたのはサンマ。

こざる サンマ? 焼いたやつ?

くる 焼いたのもダメな時もあるし、まあ、弱ってたらダメな時が多いし。
 もう、醤油ご飯でいいかな?って(笑)。

こざる ご飯好きだもんね。

――じゃあ、豆腐とか卵とかはいいですね。身体に優しいから。
 あ、そういえば豆腐とか卵とか以外の「百珍もの」の中にごはんもあるんですよね。『名飯部類』ってやつが。

くる それはすごいことになるんじゃない?

こざる 怖いよね。
 豆腐だから一日10品作っても大丈夫だったけどーーー。ご飯は怖いね。10品は辛いね。捨てられないしね。

くる ご飯で思い出したけど、昔、その食品パッケージ作ってた時に、もう現場がおかしいんだよね。ご飯を撮るってことになると、キレイなごはん粒を探すところから始めるんだよね。

こざる え? 炊く前に?

くる そう。炊く前にみんなで。一番面倒くさかったのがお米、次に面倒くさいのがピーナッツ。

こざる (笑)。

くる ミックスナッツの撮影に行ったことがあるんだけど、キレイなピーナッツを探して、1個1個レイアウトしてね。

こざる ナッツ好きだからよく食べるけど、キレイかキレイじゃないかって見たことないよ。

くる でしょ。今度から見てあげてね。あ、しまった! 豆腐の話ししなくちゃね。

―― 一同(笑)。

(後編につづく)
―前編―





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2014/04/17 更新






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きょうも、あしたも、あさっても。
ねこのいる、ぎうぎうな毎日。

花福こざる(はなふく・こざる)

群馬県出身。マンガ家・イラストレーター。東京都大田区にて花屋『花福』を夫と2人で営んでいる。著書に『花福日記』『続 花福日記』、『花福ねこ日記』(いずれもイースト・プレス)。現在「月刊フローリスト」(誠文堂新光社)にてお花屋マンガを連載中。豆腐も好きだけど、一番好きな食べ物は落花生。
花福日記:http://ameblo.jp/hanafukukozaru/

くるねこ大和(くるねこ・やまと)

93年、名古屋造形短期大学卒業後、デザイン会社に就職。06年、独立。“くるねこ大和”ブログをスタートする。

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