役に立つとか、高く売れるとか、そういうこととは無縁のところで思い切り自由に、楽しく
"テクノロジー"を使っている人たちのお祭り「Maker Faire Bay Area2012」。
サンフランシスコ郊外で開かれるこの催しには、毎年実に10万人もの人が集う。
何がそんなに人々の心を掴むのか......「Maker Faire」と聞けば駆けつけずにはいられない
チームラボ高須さんによる、熱狂レポート!
はじめてのMake:イベントに行った時から、僕はその楽しさに魅了されて、以降なるべく多くのMakeイベントに参加して、その度に新しい発見を得ている。去年のMaker Faire Bay Area 2012が開催された際には、休暇を取ってアメリカまで見に行った。
Make:の中心地、工作雑誌『Make:』のサブタイトルには「Technology on your time」という言葉が掲げられている。これは『Make: 』を出版しているオライリー社からの、読者すべてに向けたメッセージだ。自分の時間にテクノロジーを。自分のためのテクノロジー。この言葉には、『Make:』が単なる技術書でなく、Make:の活動はより自分の人生や周囲との関わり方を豊かで意味深いものにしてくれるものであり、生き方や文化にまで影響を及ぼすものであるという、Make:の発起人、デール・ダハティの思想が感じられる。
それではさっそく、『Make:』の発行元であるオライリーが主催する世界最大のMake:イベント、Maker Faire Bay Areaについてのレポートを始めたい。
ネオンのサメを上に載せたビークル
心にガツン!と来る、楽しめる場所
Maker Faire Bay Areaはサンフランシスコから電車で1時間ほどの郊外、サンマテオで開催される。ここにはアメリカ中から出展者たちが集まってくる。そしてそれを楽しみに、各地から10万人もの観客がやってくる。
「Maker Faire」は世界中で行われている。日本でも大人気で、日本科学未来館で行われた昨年のイベント Maker Faire Tokyo 2012には1万人の人が集まった。
アメリカで雑誌『Make:』が創刊されたのが2005年、最初のMaker Faireが開かれたのが2006年。日本では1年遅れて2006年に『Make:』日本語版が創刊され、イベントも2008年から行われるようになった(2011年までのイベントはMake Tokyo Meetingというタイトルで行われ、2012年からMaker Faire Tokyo となった)。
Maker Faireは間違いなく、誰かに強いられて勉強しにくる所ではなく、楽しみを求めて集まるイベントになっている。最寄り駅から会場に向かう途中、Make:TOKYOと書かれたTシャツを着た僕に、いろんな人が話しかけてきた。
「東京からMaker Faire Bay Areaに来たのか? よく来たな! 俺もMake:を楽しみにしていたんだ!」
『Made by Hand ―ポンコツDIYで自分を取り戻す』(マーク・フラウエンフェルダー 著/金井哲夫 訳/オライリー・ジャパン)
DIYの目的は、自分の人生を取り戻すこと。「Makerムーブメント」を主導する雑誌「Make:」の編集長によるDIY体験記。野菜作り、ギター作り、エスプレッソマシンの改造などの経験や、個性的なDIY愛好家との出会いを通して、「失敗をおそれないこと」「成果を共有すること」など、ムーブメントの根底にある価値観を発見する一冊。
『Make: Technology on Your Time Volume 12』(オライリー・ジャパン 発行)
自由な発想でテクノロジーを使いこなすMakerのための雑誌「Make:」。最新号Vol.12の特集は「DIY SUPERHUMAN」と「キットとイノベーション」。毎号掲載されているSF作家・野尻抱介氏のコラムも最高!。