小池みき&牧村朝子×山崎ナオコーラトークショー 小池みき 牧村朝子 山崎ナオコーラ 『同居人の美少女がレズビアンだった件。』質問回答スペシャル 『同居人の美少女がレズビアンだった件。』刊行記念として、吉祥寺パルコブックセンターにてトークショーが開催されました。当日は皆様からたくさんのご質問をいただきましたが、時間の都合でお答えできませんでした。今回改めて皆様からのご質問に、小池みきさん、牧村朝子さん、山崎ナオコーラさんにご回答いただきました! 最後には嬉しいご報告もあります。
『同居人の美少女がレズビアンだった件。』刊行記念として、吉祥寺パルコブックセンターにてトークショーが開催されました。当日は皆様からたくさんのご質問をいただきましたが、時間の都合でお答えできませんでした。今回改めて皆様からのご質問に、小池みきさん、牧村朝子さん、山崎ナオコーラさんにご回答いただきました! 最後には嬉しいご報告もあります。

トークショーの模様はこちら。


■ 小池みきの回答


○”結婚”をする意味って何だと思いますか?

うーむ、「メリット」ではなく「意味」となると答えるのが難しいですね。山崎さんや牧村と違って実体験がないですし。自分にとってのそれを見つけたときが結婚するタイミングなんでしょうか。今のところ私自身は「一緒に生きる家族を得る有効な手だて」としての結婚に意味とメリットを感じ、憧れております。


○「イケメン女子」ということばについてどう思いますか?
(添えられていたコメント:本の中でのみきさんのエピソードがとても好きです)

ありがとうございます! 嬉しいです。「イケメン女子」っていう言葉はあんまり使ったことがないですが、イケてる面な女子はいっぱいいるし、イケてるMen的な女子もいっぱいいるので、アリなのではないでしょうか。私もイケていたい。


※ この後は、全員への質問としていただいた質問のうち、山崎ナオコーラさんと牧村朝子は答えたが小池は答えていない、というものに答えます。


●相手の性別を問わず、「人と付き合う」ってどういうことだとお考えですか。私は人を好きになったことはたくさんありますが、「付き合いたい」という感覚がいまいちわかりません…。

Me tooですね。特定の人間を好きだと思ったことはありますが(私は質問者さんと違って数が少ないので残念です)、そのときにあったのは率直に言えば性欲と、あとは「両思い願望」くらいだったような気がします。パートナーができたら、記憶の新しいうちに「付き合いたい感覚」についてメモっておきたいと思います。


●男・女という区分は何でしょうか? もし概念に過ぎないとしても、同性愛や異性愛があるのは何故でしょうか?

「ある」とはそもそも何のことなのか……という話から始めたら長くなるからやめましょう。

おっしゃるとおり、区分自体は概念だと思います。自然界に「男というモノ」「同性愛というモノ」は存在しません。ブラッド・ピットと三船敏郎がカテゴリA(男)に、菅野美穂とセーラームーンがカテゴリB(女)に属する、という判断を瞬時にするのはヒト科ヒト属ヒトだけです。それも、まったくもって全員ではないですね。

だから「~があるのは何故か」という質問に対しては「それを脳内で発見したから」ということになるのでしょう。私たちはどういうわけか色んなものを脳みその中で見いだし、名前をつけ、「皆でこれを前提に動く」というシステムを作り上げました。システムは目下更新され続けていると思います。

私の頭の中には、「男」「女」「同性愛」「異性愛」全部あります。が、基本的にジェンダーもセクシュアリティも、私にとっては「人生の最重要項目」ではありません。どうでもいいと言ったら言い過ぎになりますが、対外的な態度も、感覚もころころ変わる適当な人間です。自分が女だか男だかわからない気分のときもあるし(割と多い)、「女なんてクソだな」という男尊女卑思考の一日もあります。区分を強く意識している人と接するときは、自分の正義に反しない程度に、その場にふさわしい言葉づかいを考えます。

「私の世界」において、性についての区別とは状況に応じて形を変えながらぼやぼやっと「ある」ものなのです。質問者さんの世界ではどうでしょうか。


●小さい頃から、「私の中の男の子」(山崎ナオコーラさんの著作)の雪村のような性別違和がありました。女湯に入るときの孤独感、生理への嫌悪感、自分の性別を見て見ぬふりする経験が「みんなと違う」ことだと気づいたのは最近のことです。これを自分でどう飲みこんでいけばいいのかわからなくて悩んでいます。

飲み込まなくてもいいんじゃないでしょうか。人生の問題として抱える荷物のうち、「飲みこめる」ものはごくわずかだと個人的には思います。私自身もいくつかの問題を抱えて生きていますが、ひとつも飲みこめたことはないです。どっかで落っことしてきたとか、何か違うものと入れ替わったことはあるのかもしれませんが。

性別関係で言うと、私は子どもの頃、「肉体的に男より強くなることはできない」という事実に戸惑い、激しく苛立っていた時期がありました。毎日筋トレをし、竹刀を振り、ナイフや錐を持ち歩き(イタいなあ)、暇さえあれば指の骨を鳴らして手がごつくなるように努力していた時代です。

今、あの頃のような不快感はありません。問題を「飲みこんだ」記憶はないのですが、いつの間にかそうなっていました。社会的承認で心の欠落感が補われたせいかもしれないし、歳くってホルモンバランスが変わったせいかもしれません。あるいは、忘れただけかもしれません。

個人的に得ている教訓は、自分の精神も肉体も状況も、そして抱えている問題さえも日々変化していくということです。もしかしたら一年後にはその問題を「飲みこめる」かもしれませんが、そのときの問題の姿は今日のそれとは変わっているはずなのです。だから、今飲みこめないならそのままでいいのではないか、と私は思います。手にぶら下げるとか、棚に上げておくとか、他にもできる対応はあります。

ただ、その性別違和によって、日常生活や健康に支障が出ていると感じる場合は、無理せず専門のお医者さんや機関を頼ってください。性別違和のカウンセリングを行っているクリニックで相談してみる、電話やメールによる相談サービスを使ってとりあえず今の状況を話してみるなど、もし「とにかく何か動きたい」と思ったときには一つの手段として検討してみてほしいです。



<皆様にお知らせ>
実はこの度、LGBTカルチャーにおいて、人種やバックグランドの違いを乗り越え、社会とLGBTの架け橋を築いた存在を讃える「Tokyo SuperStar Awards2014」にて、この『同居人の美少女がレズビアンだった件。』がカルチャー賞を受賞しました! 授賞式が12月6日に行われ、著者の小池みきさん、牧村朝子さんが出席されました。ご推薦くださった皆様、ありがとうございました。

(了)



2014/12/11 更新




『同居人の美少女がレズビアンだった件。』(イースト・プレス)
33人が同居するシェアハウスにやってきた、とっても可愛い女の子。 彼女の名は牧村朝子、通称「まきむぅ」。職業はタレント。
ある日彼女はこう言った。
「私、早く彼女が欲しいな~」
そう、彼女は「レズビアン」だったのだ。






『太陽がもったいない』(筑摩書房)
山崎ナオコーラさん、待望のエッセイ集です。
舞台は自室のベランダ。そこで起きた、愛情の暴走とは?
ドラゴンフルーツ、除虫菊、バジル、朝顔、ミニトマト、ゴーヤーetc.etc. スズメも毛虫もやってきて、まるでそこは世界のミニチュア。
震災を経て、結婚をして、生と死を見つめた日々を、魅力あふれるイラストとともにつづる、デビュー10周年企画、第一弾です。
ちょっとイジワルだったり、シビアな現実認識が示されたり。
一筋縄ではいかないナオコーラ・ワールドが堪能できるエッセイ集です!






『百合のリアル』(星海社新書)
パリで国際同性婚した著者が語る、「女の子同士」のリアル。

小池みき(こいけ・みき)

フリーライター。2012年、『百合のリアル』(著者:牧村朝子)で星海社ジセダイエディターズ新人賞を受賞。

牧村朝子(まきむら・あさこ)

タレント、文筆家。オフィス彩所属。フランスの法律で国際同性婚、現在東京在住。主な出演に「5時に夢中!」「世界の日本人妻は見た」ほか。
2016年12月より、NHK文化センター青山教室にて、全4回のジェンダー論講座を開講。

山崎ナオコーラ(やまざき・なおこーら)

作家。1978年、福岡県生まれ。
2004年に、会社員をしながら書いた「人のセックスを笑うな」が第41回文藝賞を受賞し、デビュー。
著書に、『指先からソーダ』(河出文庫)、『この世は二人組ではできあがらない』などがある。
目標は、「誰にでもわかる言葉で、誰にも書けない文章を書きたい」。
性別のカテゴライズに、なかなか馴染めない。