• 1





さらに詳しく文字解説

この研究のここがスゴッ!

Lab:014b 東京電機大学 安田浩研究室




「簡単なツール=安全なネット社会」



 東京電機大学・安田浩先生は、画像、映像通信研究のパイオニアで、皆さんも聞いた事があると思いますが、JPEG(ジェイペグ)、MPEG(エムペグ)という映像圧縮技術は、安田先生が世界中の技術者に呼びかけて、国際規格化したものなんです。デジカメや携帯電話で撮影した画像や動画は、ほとんどこのJPEG/MPEGで記録されます。世界中で使われている、まさにグローバルスタンダードです。さまざまな利害関係がうずまくなか、国際規格を取りまとめるのは、とてつもなく大変なことだったと思います。世界中で画像がやり取りできたり、海外のサイトを見られるのは、この国際規格があるからなのです。
 安田先生が長年取り組んできたのは、誰もが通信技術を使うことができる仕組み作りです。それには「セキュリティ」も重要です。インターネットに対する正しい知識を広め、安全に使うための研究を続けています。

 誰もが使えるというところに着目して、前回ご紹介したアニメーション制作システム『DMD』(デジタル・ムービー・ディレクター)の研究につながっていきます。伝えたいことを手軽に映像化できる手段が発達すれば、現在はブログやSNSなど文字が中心の発信文化が動画中心へと変わっていく可能性があります。映像を作ることができる人口が増えれば、新しい表現の可能性がぐんと増えます。ツールによって表現が変化した近年の例としてはボーカロイド『初音ミク』が有名ですが、こういった社会的な変化も期待できるでしょう。

 さらに、年配の方や、子どもたちにも使えるツールを作ることは、知識を広める「リテラシー」にもつながります。近年、SNSが発達し、インターネット上での「個人の存在」が強い意味を持ってきています。例えば、Facebookのアカウントは社会的な意味を持ち、ビジネスシーンでは名刺として機能していたりします。
 インターネット上の人格が強い意味をもってくると、問題になるのは「なりすまし」です。アカウントを勝手に作られて自分の名前が詐欺に使われた、なんてこともありえるのです。これからの時代、こういった情報被害から身を守るには、「まったく断絶するのではなく、最低限利用すること」だと、安田先生は言います。自分から何かを発信していれば、でたらめなことを言われてしまう「なりすまし」は防げます。
 安田先生は、誰もが使いやすいツールを作ることで、情報弱者を作らない社会を目指しているのだと思います。

  • 1
?