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この研究のここがスゴッ!

Lab:022b 株式会社スピン studioTED 齊藤康太




「まるで魔法のような映像体験」


 前回ご紹介した、映像を立体に見せる技術ホログラフィックは、最近ボーカロイドやテクノユニットのコンサートなどで話題になった技術です。基本的な構造は、ステージ前にハーフミラーがあり、そこに映像を投影するというものです。
 この技術自体は、古くからある舞台技術を応用したのものですがプロジェクションマッピングモーションキャプチャといった、最新の技術との組み合わせることで、表現の幅や可能性がぐっと広がり、ここ数年注目を集めています。

 齊藤さんは、ホログラフィックの映像演出や、効果的な見せ方などを研究している日本の第一人者です。光と色、照明などを組み合わせて、まるで魔法のような世界を生み出すにはいったいどんな演出があるのでしょう。
 映像のなかに写っている黒い箱には、「studioTED」というロゴが見えます。動画をみていただければわかりますが、そのうちのひとつは、じつは映像なのです。デモの最後で、箱からロゴが飛び出して中央に拡大される時、はじめて気付くという仕掛けになっています。
 ここには、実は細かい工夫がなされていて、実際に印刷されているロゴの解像度をわざと粗くして、色も合わせています。通常の解像度で印刷すると、すぐに判別できてしまうのだそうです。
 齊藤さんが最も感動し、参考にしているというホログラフィック作品に次のようなものがあったそうです。
 最初はリアルな人だったはずの語り部のインディアンの老人が、いつのまにか映像と入れ替わっていて、最後にはその老人が煙になって昇っていきます。しかもその瞬間、手に持っていた杖だけがコロンと倒れるのです。いつから老人が映像に切り替わっていたか、お客さんにはまったく気付かないように誘導しているのです。
 この、静かだけど見事な演出にとても影響を受けていると齊藤さんはおっしゃっていました。

 ステージ上に人が立ったり、杖のように映像と比較できるものを置いたりすると、立体感や映像のリアルさが格段にアップします。このような、お客さんをだます手法をストーリーに合わせて取り入れられていくことで、ホログラフィックならではの高揚感を演出することができるのです。最も大切なのは、映像としてではなく、生のステージとして、演出を考えていくことだと齊藤さんはおっしゃっていました。

 齊藤さんはショービジネスの世界だけではなく、アートの領域でもこのホログラフィックを広げようと活動していらっしゃいます。ホログラフィックの魅力は、録画映像ではなかなか伝えきれません。ぜひとも体験してほしいと思います。コンサートなど情報が入り次第、お知らせしていきたいと思っています。

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