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この研究のここがスゴッ!

Lab:025b 慶應義塾大学 稲蔭正彦研究室




「実践的研究と教育カリキュラム」


 今回ご紹介した、慶應義塾大学の稲蔭正彦先生は、アメリカの大学でCGやメディアアートを学び、CG黎明期からさまざまな技術を開発しながら、アーチスト、ディレクター、プロデューサーとして活躍してこられた、まさにパイオニアです。映画のCGやVFXなども多数担当され、アメリカにあるCG制作会社の経営者でもあります。
 現在の研究テーマは、エンターテインメントを軸足に、ソーシャルメディア、ゲームデザインなど、人を楽しませ、人に驚きを与える経験のデザインへと移ってきています。
 映像のなかに登場した、生活のなかに溶け込み、楽しみを付加してくれるようなコンテンツは、コンピュータが人に寄り添っていくうえでとても重要なものです。
 それを実験的にではなく、実践的に研究、制作しているという点に注目したいと思います。これまで研究とは、得られた技術やエッセンスを、企業が数年かけて社会に出せるものに作り込んでいく、というものでした。しかし、現在では、ウェブサービスをはじめとして、研究がそのまま商品へと結びついていく事例がどんどん増えています。そこで重要なのが実践的な研究である、ということです。研究で得られる結果が実社会でどう作用していくかを考えながら、これまでになかった、新たなコンテンツを作り出していくことが、稲蔭先生の目指していることだと思います。

 稲蔭先生は、ご自身の作品制作や研究にとどまらず、新しい教育カリキュラムの実践にも取り組んでいます。
 以前ご紹介した稲見昌彦先生も所属する、慶應義塾大学メディアデザイン研究科(KMD)は、稲蔭先生が委員長となり5年前に立ち上げた、新しい大学院です。グローバルで、実践的な人材を育てるために、特殊なカリキュラムを持っています。東京、大阪に加えて、シンガポールにキャンパスがあり、学生の35%は留学生、年齢や職種、社会人経験もさまざまです。この多様性(ダイバーシティ)が、コラボレーションが次々と起きる環境を作り出します。さらに、「CEMSプログラム」という留学制度に参加すると1年間、海外の提携校に滞在して学ぶことができます。
 KMDで実践されているのは、未来の教育カリキュラムです。稲蔭先生は、それを実践していくことにより、世界を引っぱっていけるようなデジタルでクリエイティブな人材を育成しているのです。

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