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この研究のここがスゴッ!

Lab:026 東京大学 西田友是研究室




「CGフロンティア」


 西田先生がCGの研究を始められたのは1970年。パーソナルコンピュータが普及するよりも以前、大学にもコンピュータは数えるほどしかなかった時代です。この頃のコンピュータには、カラーモニターなどなく、絵を描くにはまったく向いていませんでした。科学者が複雑な計算をするための機械だったのです。
 その当時、CG研究はまだまだ未踏の領域で、ほかの研究者に「絵を描いて遊んでいる」などと揶揄されていたといいます。それでも止めずに、西田先生は、自分が面白いと思った研究テーマに次々と挑み、43年間もCG研究の先陣を走り続けてきたのです。

 先生の研究のなかで、とくに有名なのが、「ラジオシティ法」と呼ばれる照明効果です。西田先生が世界で初めて開発したラジオシティ法は、環境光の反射も計算して、よりリアルな光と影の関係性を表現できるようにしたものです。
 もうひとつ、形状を高精細に速く描ける「ベジェクリッピング法」も有名ですが、ほかにも自然物の形の再現や、インタラクティブ表現など、多岐にわたる研究・論文があり、CG界で最も権威のあるSIGGRAPHに17本、EUROGRAPHICSに18本の論文が採択されました。
 長年の功績がみとめられ、SIGGRAPH2005において、CG界のノーベル賞といわれる、スティーブン・A・クーンズ賞を受賞しました。アジアで初、世界で12人目の栄誉です。

 現在、ハリウッド映画などで見られる、素晴らしい映像の数々は、西田先生をはじめとした、日本の技術が基礎になっている部分が数多くあります。
 ひとつひとつ分解してい見ていくと、CG映像は、とても多くの研究が支えているのだとわかるのです。西田先生の研究でいえば、例えば水中を走る光の柱や、ぼやけた影、空に浮かぶ雲の増え方など、いまでは市販のソフトでできることも、先生の研究がなければ実現していなかったこともあるのです。
 先生は、ご自身の研究を「CGで絵を描く人のために、筆を作ってきたようなもの」だとおっしゃっています。世界中の本当に大勢のアーチストが、西田先生が作った「筆」を使って、CGを描いているのです。
 これからも西田先生のご活躍に期待したいと思います。

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