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Lab:028 JST お茶の水女子大学 塚田浩二




「日用品インターフェース」


 塚田先生の研究対象は、日常生活のなかにあります。私たちが毎日使うような日用品に、コンピュータやセンサーを組み込むことで、これまでになかった関係性を生み出し、その変化を研究しているのです。
 映像内でご紹介いただいた、フォーク、鉢植え、ハンガーのほかにも、さまざまな日用品を、動かない「物」からインタラクションできる「デバイス」へと、次々と進化させていきます。そこには、利便性の向上という効果ももちろんありますが、それだけではなく、これまでは考えもしなかったような、まったく別の側面を発見するという研究もたくさんあります。それにしても、いろいろな日用品から反応が返ってくるなんて、生活がとても楽しくなりそうです!

 塚田先生の研究の特徴は、とにかく「作る」ということです。アイデアを形にし、それらを実際の生活のなかで使ってみることで、それが新しい研究へとつながっていくというところが、研究の面白さを生み出しているのです。

 そして、その面白さが、栗原一貴さんとの共同研究「SpeechJammer」の2012年イグノーベル賞(音響学賞)受賞へとつながったのだと、私は思いました。
 イグノーベル賞とは、「人々を笑わせ、そして考えさせてくれる研究」に贈られる賞で、同年のほかの受賞作を見てみると......「人を左に傾かせるとエッフェル塔が小さく見えるという研究」、「ポニーテールはなぜあのかたちになるのか」、「コーヒーを持って歩くとどうしてこぼれるのか」など、どれもすごくユニークで気になる研究ばかりです。
「SpeechJammer」は、インターフェースやインタラクション開発の基本となる「人間研究」につながるものです。まだまだ何かできそうな可能性を秘めているように感じます。

 今回、塚田先生には、研究室にある工作機器もご紹介いただきました。「作る」研究室には、そのための環境を整えることも、とても重要なことなのです。
 レーザーカッター、3Dプリンタ、基盤加工機、それぞれ三つの機器は、どれもコンピュータのデータどおりに加工ができ、データやプログラムができれば、手仕事に頼らず、とても完成度の高い部品が作り出せます。第37回でIAMASの小林茂先生にご紹介いただいた「ツールキット」と合わせて、これらの工作機器は、研究スピードを飛躍的に早め、完成度を向上させました。しかも、外注するよりも費用が抑えられると、いいことづくめです。
 これらの機器は、これまでにご紹介してきた多くの研究室でも使われていて、特に、塚田先生にようにデバイスやハードウェアを次々と作っていくという研究には、欠かせないものになっています。
 どんどん作って、どんどん試して、しかもそれをどんどん社会に送り出していく。これからの新しい研究室には必要なことだと思います。

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