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Lab:029 九州大学芸術工学研究院 松隈浩之




「シリアスゲーム」


 九州大学芸術工学研究院は、芸術と科学技術の融合、両立を目指した複合領域で研究、人材育成をしています。その前身は九州芸術工科大学で、1968年に設置されました。デジタルな分野においては、河口洋一郎さん、八谷和彦さんなどを輩出した名門なんですよ。2003年に九州大学に統合されました。

 松隈浩之先生の研究分野はコンテンツデザイン。まさに芸術性と技術力が必要な分野ですが、そのなかでも松隈先生が近年取り組んでいるのは、「シリアスゲーム」というものです。通常のゲームはエンターテインメントを目的としたものですが、シリアスゲームとは、社会問題を解決するためのゲームです。環境問題を考えさせるためのものや、自動車の運転を訓練するものなど、社会における切実な問題を解決するために、ゲームを使って啓発や訓練をしていくものなのです。
 シリアスゲームが取り扱うテーマは、社会問題の数だけ数えきれないほどありますが、そのなかで松隈先生のチームが選んだのが、リハビリでした。
 リハビリは、高齢者医療と密接な関係があり、難しい課題ですが、松隈先生のチームは、2年間の検証によって安全性とその効果を実証しました。動作入力できるゲームデバイスの登場で、リハビリとゲームは、近年とても相性の良いものになってきました。
 リハビリが楽しくなるような色、音、動きの工夫や、準備をするセラピストさんの使いやすさまで考慮した作り込みはまさに、この2年間の結晶だといえるでしょう。

2013年3月には、施設向けのゲームとして商品化されました!
「リハビリウム 起立くん」
http://www2.medica.co.jp/topcontents/kirithu/

 シリアスゲームプロジェクトは、産学官協同のプロジェクトなのですが、とてもうまくいっている例だと思います。学生のみならず社会人も、ゲームの制作を通して、実践的な技術、検証方法、ニーズの捉え方など、総合的に学ぶことができます。そしてなによりも、成果物が実際に普及すれば、ゲーム自体が人を助けることができる力を持っているという点がとても大きいポイントです。
 今後、松隈先生は、さらにその範囲を広げて、シリアスゲームの研究を続けられるとのこと。いったいどんな発展をしていくのか、どんな風に世の中を変えていくのか、楽しみにしています!

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