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Lab:034 生田幸士




「ナノロボットと医療の未来」


 生田先生の研究いかがでしたか?
 生田研究室では、最近注目されている3Dプリンター、デジタルファブリケーションのナノ版、その名もマイクロファブリケーションを研究されています。超ピンポイントのレーザーを、樹脂に当てて成形するのですが、映像中に出てきたカブトムシの画像は、なんと髪の毛の太さの1万分の1にも満たない大きさなのです。爪の先に乗せたとしても肉眼では点にすら見えません。
 しかも、そんなに小さいのに、ナノロボット、ナノアームなどは、なんと光の質量で動くのです。力が小さすぎて私たちには感じられませんが、光にも圧力があるのです。ミクロ、ナノの世界だから起こりえる特有の現象というものがあるんですね。
 ただ、このナノロボットの技術が進んでも、映画『ミクロの決死圏』のように、体内に入れて、ナノロボットが手術をするというわけではありません。例えば、がん細胞は何千何万とあるので、それらをひとつひとつ処理していくのはあまりにも非効率。「それが効果的な方法であれば、すぐにでもその開発に着手する」と生田先生はおっしゃていますが、ナノロボットの目的は、あくまでも研究のための装置なのです。ナノロボットを使って、顕微鏡のうえで細胞そのものを操作するという研究が進められています。極小の細胞やウィルスを、物理的に切った貼ったして「手術」することはこれまで不可能だったのですが、それが可能になり、もしかすると、これまでになかった機能を持った細胞などが新しく開発され、医療に革新を与える可能性があるのです。
 このように、目に見えない世界で繰り広げられる世界最小の工作技術、ロボット技術は、これまで思いもよらなかったような効果を生み出す可能性を孕んでいるのです。

 今回、映像ではご紹介できませんでしたが、体内に入れる化学ICの研究も進められています。
 必要なときに必要な量の薬をリモコン操作によって放出する小さな機械などを開発されています。これが実現すると、例えば、がん細胞の近くに装置を埋め込み、効果的なタイミングで抗がん剤を放出することで、副作用を最小限に押さえながら、最大限の効果を発揮できるようになるのです。
 物理的に、何かを動かす装置を「アクチュエーター」と言いますが、この化学ICの研究は、体内にさまざまなアクチュエーターを入れこむことで、病気の治癒や、失われた機能の回復させるというものです。その効果に大きな期待が集まっています。

 生田研究室は、これまでになかったものを生み出すことを信条とした研究室です。たくさんの独自技術を持っており、ものづくりに情熱をもったたくさんの人材を育ててきました。
 その精神は教育カリキュラムのなかにも実践されています。いっけんバカバカしいことを真剣に研究し、発表する「バカゼミ」や、与えられた素材を使って30メートルの高さから落とした卵を割れないように工夫する「卵落とし」など、とても面白い授業をなさっています。

 生田先生の研究室から、今後いったいどんな技術革新と、人材が生み出されていくのか、注目です。

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