• 1




Lab:037 東京大学 相澤・山崎研究室




「食のライフログが生活を変えていく」



 相澤・山崎研究室は、「ビッグデータ」と関わりの深い研究室です。
 ビッグデータとは、インターネットの行動履歴などを記録し、デジタルデータ化することで、これまでのマーケティングからは浮かび上がらなかった情報を読み取ることができるという巨大なデータの塊のことです。

 相澤・山崎研究室では、生活にまつわるビッグデータ「ライフログ」の研究をしています。ライフログは、自分たちの生活を記録し、デジタルデータ化することで、日々の行動の傾向、自分自身が気づいていなかった趣向などを明らかにすることができます。例えば、紙とペンでつける日記には、自分の考えたことだけが記録されていきますが、その日記をスマートフォンでつけるようになると、書き込む文章のほかに、時間や場所などの情報も記録されます。それを読み返すと、過去に起こった出来事を思い返しながら、自分が移動した距離や、日記を書き込んでいる時間なども一覧できるようになるわけです。

 相澤先生が進めている研究は、食のライフログ「フードログ」です。
 2008年12月から、パイロット版としてプロジェクトを始められたそうですが、そのきっかけは、食事に興味のある学生がいたことだそうです。ウェブ版では、アップされた写真を自動解析して、栄養価を提示してくれます。それをベースに修正を加えて日々記録していくのですが、この部分に、先生がこれまで研究してこられた、画像処理技術が使われているのです。ライフログにとって、「負担が少ない」という要素は非常に重要です。日常生活のなかにいかにすべり込ませていくことができるかが、続けていくうえでのカギになってくるからです。
 先生ご自身がほぼ毎日つけているログは、4年半で7000件以上! この蓄積こそが、ライフログの強みです。ログを、栄養管理師に分析してもらえば、栄養価のかたよりや、予想される病気まで導き出すことができるのです。分析結果は、サンプル数が多ければ多いほど正確になっていきます。
 さらに、7月にリリースされたスマートフォン版には、ウェブ版にはなかった位置情報やカロリー検出といった機能が加わりました。今後、蓄積されていく記録は、ダイエットや医療などにさまざま活用されていくでしょう。

 相澤先生は、取材のなかで「焦点をしぼると違う分野とつながる」ということをおっしゃっていました。食にターゲットをしぼったことで、逆に世界が広がったというのです。
 これは、ほかの研究にも言えることかもしれません。専門性を追求し、そのなかで、社会的なニーズに応えるように研究していくと、まったく思いもしなかった分野とつながって、新しい可能性が出てくるということです。大学や企業の研究者にかぎらず、専門性をもって仕事をしている方は、さらに追求しつつ、社会に役立つ方法を探してみると、面白いことが起きるのではないでしょうか。
 フードログの研究からは、foo.log Inc.という学内ベンチャーが生まれています。ウェブサービスやアプリはこの会社がリリースを担当しているのです。こういった広がりも、焦点をしぼった結果だと思います。

 ライフログは、まだまだ新しい未知の分野です。さまざまな情報を記録し、解析することで、私たちの生活を変えてしまう可能性をたくさん持っています。その先駆的な活動として、相澤・山崎研究室のフードログにますます期待が高まっているのです。

  • 1
?