江戸時代のベストセラー『豆腐百珍』に挑戦したこざるさん。
単行本ではくるねこ大和さんにも1品挑戦いただきました。
日頃から仲良しなお2人による豆腐対談です。






さて、江戸時代の料理本『豆腐百珍』に挑戦した、花福こざるさんとくるねこ大和さんに、挑戦の感想とお豆腐についてお話いただきました《前編》からの続きです。



――(花福の)店長さんは、こざるさんが、今回の企画で豆腐作ってる時なんか言ってました?

花福こざる(以下 こざる)「頑張って」って。

くるねこ大和(以下 くる) 豆腐なんかはね、毎日食卓に出てきても意外じゃないからね。

こざる そうそう、余ったから食べなよって出しても違和感ない。



実在のお花屋さん「花福」の店長さんは、こざるさんの旦那さんです。


――(『豆腐百珍』に出てくる)味付けは、ほぼお酒と塩と醤油と味噌と、って感じでしたよね。砂糖は1回ぐらいしか出てこなかったんでしたっけ?


くる 砂糖はね、高級品だったでしょうしね。

こざる うんうん。たぶん。

――だけどその細かい分量は書いてないんですよね。

くる 分量書かないってすごい斬新よね。

こざる あ、でもプロの料理人の本って分量書いてないんだってよ。

くる それは自分で考えろと?

こざる うん。料理人の義理の弟が言ってた。

――こざるさんもくるさんもお料理上手だから、今回豆腐料理を作るって言ってもそんなに苦労しなかったんじゃないですか?

こざる いや、私は自分の好きなものしか追求しないので。
 ご飯が好きだったらご飯の炊き方とか(笑)

くる 私も食べられないものを補うための追求でしかないからな。乳製品がダメだから違うので補うとか。

――そういえば、以前くるさん手作りラー油とか作られてましたよね。

くる ああ(笑)。あれは大失敗だからね。すごく難しかった。
 プロ使用の本を読んでいたみたいでね。大失敗というかもう目が痛かった。
 猫はみんな逃げた。

こざる あはは(笑)。

くる マスクしろって書いてあったしさ。

こざる でも、私もうちの唐辛子(自家製)をマスクして手袋してミキサーにかけてるよ。

くる ああ、こざる唐辛子! あれね、めちゃめちゃ辛いの。本当にね脳天から汗が出てくるんだよ。
 うちの米びつにさ、虫除けに1個入れてるんだけど、1年ぐらい経ってもね、まだ辛いんだよね。

ーーーー漫画の中にも出てきますね。こざる唐辛子。





こざる 今年も作るね!

くる あ、ありがとう。

くる もうね、(こざる唐辛子)いただくとうち虫がいなくなるもん。一匹も。

こざる みんなあんまり喜ばないよね(笑)。最近あげる時小さい袋にしたもん。

――漫画の中では唐辛子触った手で顔さわっちゃって、痛くっていうか痒くなってましたね。


こざる そう、なんか痛いなー、って。

くる 危ないよね。でも山芋もそうじゃない?

こざる 山芋って面倒くさいから買わなくなんない?

――山芋も豆腐百珍にも出てきましたよね。豆腐と山芋すって固めるやつ。柔らかくなっちゃったやつ。

こざる ああ、美味しかったですけどね。やわやわの。

ーーーーそう考えると、昔の豆腐って絶対今より固いですよね。

くる うん、固い固い。

こざる 絶対固くないとできそうもないやつありましたもんね。

くる うちの両親の田舎では、昔は豆腐をひもでくくって持ち帰ってたらしいですからね。

――ええ?
 ってことはひもでくくれるぐらい固かったってことですね。

くる そうそう、いわゆる酔っぱらいおじさんのお土産みたいな感じで持ち歩けた程度には堅かったらしいに。

こざる 昔の絵とかでも、頭にのせて奈良から京都に運んでるみたいなのあるよね。



しっかり水切りが大切なポイント。


くる そうだ田楽のさ、桶というか置くやつ、うちの近くのホームセンターとかで売ってるんですよ。


こざる え? 売ってんの?

くる そう、普通に売ってるの。でもね、その名称がわからないんだよな。

こざる 田楽炉?

くる いや、焼くやつじゃなくて、置くやつ。

こざる へえ。

ーーーー普通に売ってるなんてすごいですね。でも改めてどうして「豆腐田楽」が愛知で愛されるんですかね。

くる なんででしょうねー。なんでだろうなー。

――不思議ですねー。でもそんな、田楽と味噌とつながりのある、くるねこさんに、1品でも作っていただけたのは良かったですね。

くる あそこまで味噌は使わないけどね(笑)。

―― 一同 (笑)。

くる 心が痛むからね。でもね、あの後豆腐の煮たやつ作るようになったよ。

こざる へえ。

――こざるさんは何か作るようになりました?

こざる あれ、素揚げとかやるようになりました。

くる 素揚げはうまいよねー。
 うちの実家でさ、豆腐を売りに来てくれる人がいて一度に7丁買ってたのね。
 要は1週間分なんだけど、最後のほうはちょっと保存状態が危ないから、うちのおっかあが、最後のほうは素揚げしてくれてたんですよ。
 厚揚げもどきみたいになるんだよね。

こざる 美味しいよね!


くる 私厚揚げ大好きだからね。独身のころはね、毎日厚揚げだったからね。
 私ね、「ばっかり食いのパイオニア」って言われてるからね。


――一同 あはははは。「ばっかり食いのパイオニア」

くる 結婚してからはね、毎日食べるわけにはいかないから週1ぐらいだけど。
好きになったらね、食べ続けるのでね。

ーーーー食べ続けると飽きそうなものですけどねー。そういう意味では、豆腐の百珍でよかったですね。飽きないし。

こざる そうですねー。ラーメンとかだとキツいですよね。
 そういえば、くるさんラーメンとかも作ってなかったっけ? 豚骨から。

くる 作ったねー。豚骨はね臭いからやめたの。ご近所さんに悪いので。

ーーーーご近所まで広がるんですか? 匂いが?

くる そう。すっごい匂い。
 でもねー、あの豚骨を切った匂いっていうの? あれはいい匂いなんだよね香ばしくて。
 いい匂いだな~って嗅いでたら、その近くにいた猫がさ、私とおんなじ顔してた(笑)。でもそれを煮るとね、生臭いんだよね。

こざる ご近所さんに悪くなっちゃう。

くる 悪くなる。ほら、また豆腐の話をしないと。


――(笑)。でも、なんでしょうね。グルメ漫画というか食漫画は面白いですよね。

くる 面白いですね。ごはん食べたことがない人ってまずあんまりいないだろうし(笑)。共有できる楽しみだからね。

――今回の『豆腐百珍 百番勝負』は、分量も載ってないし、手探りだったと思うんですが、お2人ともちゃんと読んで作れるように書いてくださって。

こざる 本当ですか? ならよかったですけど。
 これもグルメ漫画に入れてもらえるんだろうか?

くる グルメっていうか、料理漫画?

こざる うんうん。そうだね。

くる よっぽどのことせんかぎり、豆腐料理はまずくならないしね。

こざる あ、でもこの中には2、3品だけあった!まずいの。

くる ああ見た。これ(茶とうふ)でしょ。ぶーってなってるの。





こざる これなんであんなにまずかったんだろ? 普通豆腐にお茶かけただけでまずくはならないはずでしょ?

くる でもね、ほんのちょっとの組み合わせで、美味しくなるはずのものがならないってことがあるの。
 私、一回あったの。

こざる 何?

くる あのね。大根を煮てたのよ。大根だけってなーって思って、なんかこれに入るのないかなって思って、肉とか厚揚げとか足せばよかったんだけど、小豆足したのよ。

こざる あははははは!!!小豆!?

くる すごいまずいの!めちゃくちゃまずかった。もう殺し合い?

こざる (笑)。なんでだろう?

くる あれよ。甘くない小豆よ。でももうね、なんで食べられるもので食べられないものができたんだろう? って思って。

こざる あ、小豆使うやつこの中にもありましたね。

――ありましたね。


くる どうだった?

こざる あんまり美味しくなかった。合わなかった。

くる 合わなかったか。

こざる 小豆って何に合うだろう?

くる うーん。かぼちゃとか?

こざる ぜんざいとか?

くる まあ、甘い系だね。

――そう思うと、確かに著者の何必醇さんは全部作って食べてないですよね。

こざる うん。作ってないのもあると思う。

くる もう通人だからさ、思いつきとかも入ってて、仲間と一緒に「これでいいんじゃないの?」みたいな。

こざる 当時の面白文化人みたいな人と集まって。みうらじゅんさんみたいな。

くる そうそう(笑)。適当なこと言ったり。

こざる 『とうふの本』という本の中の「豆腐百珍」の解説部分に何必醇の正体とか名前の由来とか、お仲間の通人や文人について色々載ってるの。
 何必醇は篆刻家、ハンコ作る人だったみたい。

――へえ。

こざる このことって漫画の中に書かなかったな~。

――そうでしたね。でも、こざるさんの書く何必醇さんって、じゃっかんオネエですよね。

こざる (笑)。

こざる なんでだろう?なんでこう書いたんだろう?

――きっとでも男の方ですよね。

くる そうでしょうね。

こざる まあ、きっとブレーンみたいな人たちがいっぱいいたんだよ。

くる そうだねー。



――『豆腐百珍』じたいのレシピは「面白」なところもあるかもしれないですが、江戸時代の人にとって豆腐はすごく身近な食べ物だったでしょうね。


くる 食べてたでしょうね。値段も安いし。

こざる 卵とかはね、高級品だっただろうけど。

くる あとはね、魚とか?あ、あとシジミとかですかね。あと納豆?

――大豆が栄養源だったんですね。昔の人の大切な。

くる そういえばうちの近くに豆腐専門店があるな。

――一同 へえ。

くる いろんな種類が売ってて、うまいんだわ。

こざる なんか名古屋ってさ、食文化が結構濃いというか。

くる うん。濃いね。いろんなものがあるよね。
 しまいには「もうこういうのこの歳になったら辛いんだわ」っていうような、B級のなんでもありのやつも、あったりね。

――一同 (笑)。


――えー。話は尽きないですが、そろそろ時間ですね。
 この『豆腐百珍』が江戸時代にベストセラーになった後、『続 豆腐百珍』が出て、『余録』が出て、『卵百珍』とか『鯛百珍』とか出てくるわけですが、是非ね、その『続 豆腐百珍』も作りたいわけなんですね。
 こざるさん、また作ってくれるかな? そしてくるさん、また参加していただけますか?

こざる くる いいとも! 

(了)




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2014/05/08 更新






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    きょうも、あしたも、あさっても。
    ねこのいる、ぎうぎうな毎日。
  • くるねこ大和(くるねこ・やまと)

    93年、名古屋造形短期大学卒業後、デザイン会社に就職。06年、独立。“くるねこ大和”ブログをスタートする。