祝!『お熱いのがお好き?』『マンガ サ道 2巻』発売&ドラマ化記念、
大町テラス×タナカカツキ 特別対談!
「ふたりのサ談義」をお送りいたします。
雪国の大雪の日生まれ。
多摩美術大学グラフィックデザイン学科卒業。デザイナーとして会社勤務の傍ら 2016年より漫画を描き始め、
2019年4月よりマンガ家として活動を開始。
7月より週刊女性セブンにて隔週連載『まにまに道草』がスタート。
大阪生まれ。京都精華大学美術学部デザイン学科(現デザイン学部)卒業。現在、同大学デザイン学部客員教授。著書には『オッス!トン子ちゃん』『サ道』、天久聖一との共著『バカドリル』などがある。カプセルトイ「コップのフチ子」の企画原案。2013年、日本サウナ・スパ協会によりサウナ大使に任命される。2019年7月19日(金曜日)よりテレビ東京系列にて『マンガ サ道』がドラマ化。
◯『お熱いのがお好き?』『マンガ サ道』2巻、共に7月発売!!
─── ドラマが7月スタートで、『マンガ サ道』の2巻も7月23日で、そして『お熱いのがお好き?』も7月12日で、このタイミングで刊行できるのは、運命的ですね。
タナカ:ねー、運命ですよこれは。
大町:そうですね。
タナカ:合わせたんですよ。この『お熱いのがお好き?』に。
大町:嘘〜!
タナカ:いや普通は単行本って、ドラマが終わる頃に出すでしょ? だから合わせたんですよ。7月に間に合うようにって。すごい前倒しやもん。
◯『きっかけは、カツキ先生からの感想メール
───そもそもおふたりはお知り合いでいらっしゃいますが、最初のきっかけは2年ぐらい前に大町さんが描かれたマンガを見て、「いいマンガ描かれますね」とカツキ先生から感想をいただいたのがきっかけだとお聞きしたんですけど。
タナカ:そう、そう。ラブコールね。
大町:その頃はマンガ家でもなくただのOLで、趣味でちょこちょこマンガを描いてネットにあげていたんです。まさかあの『サ道』のタナカカツキ先生から、感想をいただけるなんて! と驚きました。
タナカ:ここに来るまで、ネットだけで活動してたんですか? プロになろうとかじゃなくて。
大町:はい。以前カツキ先生もどこかで描かれてた気がするんですけど、マンガ家はものすごく大変な仕事…と思っていたので。
タナカ:そうね。僕も思ってる。
大町:続けるには売れるものを描かないといけないでしょうし。OLでお給料を稼ぎつつ、マンガは趣味でいいや、と思っていたんですけど…。
タナカ:うん。
大町:サウナのマンガを描いてwebにアップしたら、カツキ先生から感想をいただけて。あのカツキ先生が「いいね」って言ってくれるのなら、もしかして良いのでは!? って自信になって、「もっと描こう!」と思いました。
タナカ:それはそれはご迷惑をおかけしましたね。
大町:おかげさまで会社を辞めて(笑)。大丈夫、今のところハッピーです。
◯『お熱いのがお好き?』の連載はどうやって始まった?
タナカ:そもそもどうやってこのお話が始まったか教えてくれる?
大町:最初、担当さんからお声がけいただいて。
───そうですね。大町さんがネットで描かれていた作品を拝読して、素敵だな、面白いな、と思いまして、私自身がサウナにハマっていたので、フィクションで女性の日常のサウナマンガを描きませんか?と。
タナカ:よかったね。インターネットあって。
大町:(笑)インターネットはすごいですね。その前には「サウナイキタイ」というサウナのサイトを作っている方から連絡をいただいて、そこで何作品か描きました。そこからさらに担当さんにお声がけていただいて。
───最初は「サウナをテーマに」と申し上げたら、大町さんが「もうタナカカツキ先生がやっていらっしゃるので」と自信なさ気にされてたんですけど、女のサウナものを、大町さんに描いていただきたいと思いまして。
大町:そうですね。描く前に『マンガ サ道』を読み返したりしていたら、「あ、これも、あ、これも、ここに全て答えがある」と思ってしまって。もう私が描かなくても良くない…? って。でも考え直しまして、私は女性だし”女性の身体を描く”ってことをしっかりやるなら意味があるかなと、描くことにしたんです。
タナカ:僕が最初に見たのもネットで、その時おそるおそる描かれているのがわかったんで(笑)。激励したいな、と思って。これはもう自分では描けない世界なんで。
いや、本来は描きたいんですよ。女性の方を。男の裸とか描いてるのイヤなんでね。女性を描いてる方が絶対いいんで。でも知らないんでね。
それで歯がゆい思いをしてた時に、ガッツリ股間まで描いているようなものを見つけて(笑)。これはちょっとやって欲しいな、って思ってメールを差し上げたんですよね
大町:恐縮です。でもおそるおそる描いているのがバレてたんですね。
タナカ:まあ、描きにくいじゃないですか、こういうジャンルって。サウナの表現ってある程度もう感じることってそんなに変わらないんですよ。狭い世界のことなんで。『サ道』を気にしながら描いているとしんどいやろな、ってね。
大町:先達からのお気遣い…。
タナカ:声をかけないと描いてくれないと思ったんで。人見知りなんですけど。断腸の思いで。
大町:(笑)。断腸!?…ありがとうございます!
やはり『サ道』には「ととのった」があったので。「ととのった」に©(コピーライト)はないのかもしれませんが、私じゃない方が発明した言葉なので、使いたいけど使いたくないし…できるだけそれ以外の、自分の言葉で描きたいなと思って。
今サウナのマンガ、他にもいろいろありますけど、皆さん「ととのった」と言いたいけど言えない! って歯がゆいんじゃないかな…。
タナカ:そうね。そうだと思います。気にするっていう、そういう気持ちはいいと思いますけどね。やっぱり作家なので自分の表現をしないと。前例にある決めゼリフなんて使いたくないっていうのはいいと思うんですね。
でも、「ととのった」ってもう一般用語だから。もういいんじゃないかな、とも思いますけどね。それを使う、使わないってとらわれるのも、サウナーらしくないかもね。
大町:(笑)。そうですね。今だったら、もうちょっと使ってもいいかもって思ってます。1年前(連載開始の時)は、こだわってたけど。
タナカ:だって、『サ道』ですら、「ととのう」って言葉を使うかどうか迷ったからね。
大町:ええー。
タナカ:だってサウナーの言葉だから。自分が作り出してないから。サウナー界で普通に使ってた言葉だから。それまでは、「恍惚」とか「ニルヴァーナ」とかいうのを使ってたけど、どうもしっくりこなかったんですよね。それで自分たちが普段言ってる言葉を使おうと。それで「ととのった────っ!」に落ち着きました。
大町:いい言葉ですよね。「ととのう」って。
タナカ:いい言葉ですね。ひらがななんですよね。
大町:時々漢字の表記の時もありますよね。それを見ると、心の中で、ひらがななのにな、って思うんですよね。
◯「サウナ」を描くのは気持ちいい
───おふたりとも、サウナのことを題材にマンガを描かれる前と後では、サウナの入り方や考え方や楽しみ方が変わったりされましたか?
タナカ:んー、どうでしょう。あんまり変わんないかな?
大町:私は連載始めてから、マンガに描かなきゃ、という意識が強くて。サウナ室では写真を撮れないから、サウナストーブや温度計の配置や雰囲気…、描くためにしっかり見なきゃ、って思って(入ってました)。でも水風呂入ったら忘れちゃったりして、時々脱衣所に戻ってメモとったり。「取材だと全然ととのえない!」って思ってました。
───(笑)。ごめんなさい。純粋には楽しめなくなってしまった?
大町:いや、やっぱり描こうと決めた施設には事前に何度も通ってからお話をつくっていたので、大丈夫、もちろん楽しんでもいました!
カツキ先生は?
タナカ:あんまりないかな? 普段もそんな感じで過ごしているっていうか。
普段が全て舞台だからさ!
大町:(笑)。格の違いを見せつけられてる…。
でも、描くってそういうことなんですよね。OLをやってた頃の私は描いていなかったので、サウナを通じて観察ができるようになって、それ以外の世界の解像度も上がってきました。
最近マンガ描くのが楽しいです。
タナカ:おめでと。
大町:ありがとうございます。
タナカ:僕も3DCGをやり始めた頃は、全てがワイヤーフレームに見えた。建物も車も、このフォルムはどうやってモデリングすればいいかなって常に考えてしまう。マンガ描いてる時とは違うなと。やっぱり表現っていうのは、今いるところを観察するということですもんね。
大町:そうですね。
タナカ:ちょっと質問してもいい? サウナを(テーマに)マンガを描こうと思ったのはどうして?
大町:しきじ※に行ったことを最初に描いたんですけど、やっぱりしきじのサウナと水風呂が良かったからですね。
まだサウナに入り始めたばっかりの頃で、近所のスーパー銭湯しか知らなかったところに、あまりにもすごいサウナ…特に水風呂…を体験してしまったので。この気持ち良さを描きとめられたらと思いました。
※ サウナしきじ。静岡県にある天然水風呂が有名な施設。
タナカ:サウナってそういう表現の意欲って出てきますよね。
大町:出てきますね。
タナカ:なんかほら、サウナに行くとそこで特別な体験したりするし、何かこの気持ちいいことをもうちょっと普通に「気持ちいい」以外で、自分で持ってる技で何か表現したがるというか、音楽作っている人はサウナで音楽作っちゃうとか。自分の持ってるスキルをサウナによって拓いていってしまうってあるかもしれないね
大町:そうですね。不思議ですね。どうしてなんでしょうね。
タナカ:ま、気分もいいし、サウナのことを描いている時っていうのは、サウナのことを思い出しているでしょ。そうすると気持ちいいんですよ。猿のように描いちゃう。
大町:私は描くより入りたいです(笑)。あとは単純に体が元気になるっていうのがありますよね。私はデザイナーだったので、いつもオフィスで前傾姿勢でPCに向かっていたので、肩こりがひどくて。とてもじゃないけど、仕事が終わってさらにマンガを描こうなんて思わないぐらい体がしんどかったんです。サウナに入ると体が元気になりますよね。
タナカ:うん。元気になりますよね。だから描く気力も出てくるのかな?
でも、そしたらサウナのマンガじゃなくてもいいじゃないですか。
大町:確かに。
タナカ:だからやっぱり(サウナは描いてて)気持ちいいんですよ。
───気持ちよかったですか?
大町:水を描いてる時は気持ちよかったです。あと木目を描いたりするのも楽しい!
◯今、「サウナ」はブームなのか否か
───以前から少しずつブームはありましたけど、ここへきてサウナが空前のブームになっていると思うんですが、それについて、おふたりはどう思われますか?
タナカ:なんかでも、最近女性がね(増えてる)。
それはもう大町さんの影響なんじゃないですか?
大町:もちろん私以外にもまんきつ先生とかもおられますけど。
そうですね。でもそう言っていただけることがあると嬉しいですね。
サウナ室ってちょっと入るの怖いと思う方もいると思うので、中がどうなっていて、どう振る舞えばいいのかってみたいなのがわからないと入れないと思うので。
タナカ:サウナ室って暗いものね。
大町:女のサウナ室って怖いんですよ。最近また怒られましたもん。
タナカ:主にどうやって怒られるの?
大町:常識と思っていることがそれぞれに違うんですよね。施設のルールは守ってるんですけど。
タナカ:なるほど。
大町:この間水風呂に入ってた時、私髪の毛が短いから結ばなくていいかな…? とそのままにしていたら、おばさんが「髪の毛結んで!」って。「すみません」って結んだんですが、今度は隣にいたおばさんが、私を注意をしたおばさんに対して怒って「あなたは結ばなくていい、あの人がおかしい!」って。喧嘩し始めて…。髪結ばなかった私が悪いから、喧嘩はやめて〜! って思いましたね。
タナカ:両方おかしいね。おばさん凄いね。
大町:自分もだんだんそうなって(ヌシ化して)いくのかな? とか、いや、そうならないほうのおばさんになるのかな? とか、色々そういうこと考えてしまいます…。
だけど、男性側は全くないって聞いて。
タナカ:全くない。
もうねルールが出来上がってるのよ。いつも喋る奴は凄い喋ったりするけど。知らない人には喋りかけない。知ってるもん同士は喋るけど。
それで、そういうルールとかマナーとかは言わない。言わないけど、出てった後に、仲間内で言ったりするけど。
大町:直接は言わないんですね。
タナカ:言わない。なんかね乱れたくない気持ち。
大町:乱れたくない。私も乱れたくない。
タナカ:でもまあ、ありがたい時もあるよね、言ってくれて。
大町:そうですね。
タナカ:そうそうそれでブームっていうと、最初にサウナブームって聞いたのは2011年なんですよ。パルコ出版さんから『サ道』のお話いただいた時に、その時に始めて「ブームなんで」って言われて。
大町:8年前に、もう言われていた。
タナカ:言われた。そこから毎年言われてる(笑)。
───その頃のブームと今のブームの違いは、カツキ先生ご自身はあまり感じられてない?
タナカ:あ、いや、その頃とは随分違いますね。
えっと、『サ道』の連載を始めたのが2009年なんですよ。ネットで。ちょうどtwitterとかLINEとかSNSも普及し始めた頃だったんですけど、それで反響いただいて、2011年に「本にしませんか?」っていうお声がけをいただいたんですが、その2009年の時に、グーグルの検索キーワードでニュースを送ってくれるサービスありますよね。僕それを「サウナ」っていう検索ワードでニュースが届くように登録したんですよ。その時に3日に1回だけ、一般的なニュースでサウナが取り上げられていた。
大町:3日に1回。
タナカ:そう3日に1回ぐらいだった。でも今は毎日10通以上は来る。10通というか、10以上の記事がどこかで配信されている。
大町:30倍?
タナカ:わかんないけど。
大町:そんな風に定点観測してたんですね。すごいですね。レベルが違う。
タナカ:そうですね。レベルが違います。(笑)
ま、毎年ではあったんですが、今回ドラマ化っていうことでいうと、ドラマのスタッフさんたちは、みんなサウナが好きなんです。サウナが流行ってきたからサウナのドラマを作ろうじゃないんですよ。最初からサウナのドラマを作りたい。
大町:ええ。
タナカ:でようやく、たぶん局の中の人たちやスポンサーさんたちの承認を得られて、解禁になった。できっと一般的にサウナがブームになったって言ってもいいんじゃないか、っていうのが今なんでしょうね。
あと、もう一つ付け加えると、記事を作ったりしている人たちって業界の人じゃないですか。ライターさんだったり編集者さんだったり、あるいは表現する人だったり、そういう人たちってデスクワーク多いじゃないですか? そういう人たちってサウナーが多い。
大町:そうですね。確かに。
タナカ:で、例えばサウナの取材などがあっても絶対誰かがサウナ─。だから業界の人はサウナが好きなんですよね(もともと)。それで、一般の人が初めて「サウナがブームなんだ」って気づいたのが今年。
───なるほど、一般にまで伝わったんですね。
タナカ:うん。あともう一つ、利用者は増えてないのよ、そんなに。
大町:え? 増えてないんですか?
タナカ:ゆっくりとは増えてる。でもブームってもうちょっとドーンっていくじゃない。利用者はあんまり増えてない。だから業界のサウナ好きがくっついたというだけの現象なんですよ。
大町:なるほど。正しい気がする。
タナカ:ドラマとかを、一般の人が見て、これから少し混み出すかもしれないけどね。
◯サウナはスピリチュアル?
───話は少し変わりますが、サウナってスピリチュアル的な部分もあるような気がするんですが。
タナカ:バルト三国はまさにそうですよ。
サウナといえば、願いが叶う場所だし、儀式。
フィンランドも多少ね、スピリチュアル。やっぱり教会に行くような気持ちで行く。
大町:そうですね。出産もそこでするとか言いますよね。
タナカ:そうそう死ぬ時もそこに行く。体洗ったりするから。
バルト三国は本当にまさに儀式。
ロウリュの水に手を入れて、自分が今後どうなりたいのかって聞く。
大町:あ! それやったことあります。
タナカ:ロウリュマイスターって人とカウンセリングから始まって、サウナ室になかなかたどり着かない。まずカウンセリング。
───奥深すぎですね。
タナカ:サウナで何を解決したいかを決めて、それでサウナに入って、それでまたカウンセリングをして人生設計をそこでやるっていう…。
いろんな植物使ったり。
大町:植物とサウナって相性がいいですよね。
タナカ:そもそも植物的体験をするところだからね。自然を体験させるようなものがあると、それはもうサウナ。
大町:植物に近い感じがするといいですよね。なんかこう森っぽい香りのアロマとか、木の香りがするとより良いなっていつも思ってるんですけど。
タナカ:うん。向こうではヴィヒタ※というよりも精油とかを使う方がいい、というのもあるんですよ。
※白樺の枝葉を束ねたもので、サウナ内で全身を叩くようにして使用する。血行促進、殺菌、保湿作用が期待できると言われている。
大町:日本ではヴィヒタをありがたがってるのに。
タナカ:そうヴィヒタとかあまり使わない。
大町:ヴィヒタの話ってすぐこうやってしたくなるんですけど、「ヴィヒタってあれね、はいはい」ってなるのは、サウナをある程度知ってる人なんで。
タナカ:ヴィヒタぐらいすぐに説明できますよ。
大町:マンガの中で描くときに、パラパラって読んで「なんかよくわからないものばかり出てくる」って思われたらやだなって。
タナカ:そうねー。
大町:大町:なんか神秘の世界みたいになりすぎても、たぶん「うわーって」ひいちゃう人もいるかもって思って、あえてとても日常ってところに目線を下げて。
タナカ:……でも途中でさ、この人(主人公:まみさん)オナニーしてない?
大町:してます。
タナカ:日常って言っても、そっちのほうが非日常っていうか、ヴィヒタどころちゃうと思うねん。さっきの話だけどヴィヒタっていうのは日常的にマンガの世界では特別ってことでしょ。それやったらこれはマンガの世界で日常?
大町:いやこれは女性の日常なんですよ! 日常あるある。
どうしても描きたかったんです。
タナカ:そやねんな。だからそんなんが面白いところなんだね。だからヴィヒタ怖がってる場合じゃないってこと。そっちの方が本当はフロンティアやでって話。
大町:そうですね。フロンティア。
タナカ:でも(大町さんの描く)裸はいいよね。
大町:最近裸の絵をほめていただくことが多くて。裸が出てくる話描いてくださいって依頼頂いたり…。
タナカ:そんなん断りや。
大町:いや、やりますやります。エッチなの描きます! そんなん断りやって…お父さん感が。
───カツキ先生にいただいた(『お熱いのがお好き?』)の帯推薦文にも、「オッパイ丸出しでととのったー」ってくださいましたよね。
タナカ:そうですね。やっぱりここが珍しくて活気あるところだと思うんで、このマンガの。「裸でととのってる」って良いですよ。本来そういうことなんで。こっち(男性マンガ家)にはできないんでね。
大町:自分の肉体を素材のように思っているところがあって。大学生の頃、「Identity」をテーマにした課題があったんですが何も思いつかなくて…自分のオッパイの写真を撮ってポスターにしたんです。なかなかきれいな色のポスターが出来たな〜って満足してたんですけど、講評の時に「これは誰?」「なかなか良いオッパイだな」と男性からの好奇の目線を感じて初めて「はっ! 自分のオッパイを晒してしまった!恥ずかしいかも」って気づいて…。
タナカ:その時に恥ずかしく思った。
大町:その時に急に自覚したんですよ。女性の身体ではあるけど、自分の身体は自分のものであって…異性からどう見られているかという意識が薄い、それが私が描いているマンガには出てるんじゃないかな。その無自覚さを、さらっとしてると捉える人もいるし、逆になんだかいやらしいと捉える人もいるし、そういう風にちょっと珍しい感じで、受け止められてるのかな? って思ってます。
◯「この人の”線”を見て!」
───最後に、『お熱いのがお好き?』そして『マンガ サ道』2巻、それぞれの見どころ、と言いますか「こんな風に楽しんでほしい」みたいなところをおふたりからいただけますか?
大町:そうですね。『お熱いのがお好き?』はサウナが主役っていうより、サウナがある女の人の生活を描いています。主人公を身近に感じでいただいて、読者の方もサウナに行ってみようかな、って思っていただけると嬉しいです。
タナカ:いっぱいいると思うよ。僕(お熱いのがお好き?で)一番好きなのは、「線」なんですよね。線がすごい好き。
大町:線を褒められたことない。
タナカ:下手やもんな。でもあれがすごく良いですよね。
大町:褒められてるのかけなされてるのかわからない…!
タナカ:すごく良い感じだと思う今。なんかこう、すごく探りながらやってる感じあるじゃないですか、この時ってすごく味があるんですよね。こういうのってどんどん失っていくんで。私はもう失ったものなんで。自分にないし、描けないし、そういう意味で自分が失った世界をやってくれてるんで、ものすごく応援したくなるんですよ。
この人のこの線を見てくれ! って。
大町:発展途上だから?
タナカ:そう。もう出来上がったマンガの絵って心に入ってこないでしょ。それが良いですよ。
大町:ありがとうございます。…あと今回の「お熱い」にも入っている要素なんですが、「孤独と自立」をテーマに描いていきたい。
サウナってちょうど良いんですよね。ひとりじゃないけど、ひとりで入るから。
タナカ:そうだね。ちょうど良いね。
あ、私のね、マンガは読まなくて良いですよ。
大町:ええ? なぜ!?
タナカ:買わなくて良いです。要は私は自分の本じゃなくて、「サウナ」を勧めているんです。サウナに行ってくれればいい。(『マンガ サ道』は)サウナ啓蒙マンガだから。
大町:ええ! すごい。仏教徒みたい。達観してる。
カツキ先生には「欲」ってないんですか?
タナカ:欲もね、失ってしまったのよね。
大町:それは、逆にすでにすべてを得てるからでは?
タナカ:ああ。仏教的に(笑)?
大町:仏教的に(笑)。
(了)
『お熱いのがお好き?』は、絶賛発売中!
ご感想お待ちしています。感想フォームからどしどしお送りください! 応援をどうぞよろしくお願いいたします。
*このお話はフィクションです。登場する人物、団体、名称などは架空であり、実在の人物や団体などとは関係ありません。