アフターメルヘン

「めでたし」のその後のご不要品どんなものでも回収いたします──
廃品回収を生業とするある兄弟がおとぎの国を巡る、ダークメルヘンファンタジー!
本日は単行本の発売にあわせて雑記をお届けします♪

◆単行本発売のお知らせ


 

『アフターメルヘン』上巻が12月13日に発売されました!

単行本には1~5話+描きおろし4本+描き下ろしイラスト等を収録。
本日は単行本制作時に関する雑記をお届けします。

 

 

◆カバーなど色校正時の制作裏話!

色校とは正式には「色校正」といい、著者やデザイナー、編集者などが思った通りの色で印刷ができているかを実際の印刷を始める前に確認用として印刷をする試し刷りのことです。

 

カバーの構図等コンセプトは、著者の田島生野さん、デザイナーさん、担当編集の三者とで顔を合わせての打ち合わせにて方向性を決めました。(打ち合わせ方法は色々あります)

最終構図のイラストになるまでに複数(5~7案ほど)のラフ絵(下書きや構図のイメージ用に)を描いています。そのイラストもすべてお見せしたいくらい素敵な構図やイラストだったりもします……!

 

◇カバー


 

カバーで使用しているインキはCMYK+ピンクゴールドでの5色、グロスニス加工で仕上げています!
2種類の用紙候補があり、発色、印刷状態などを確認してから採用する用紙を決めるため、初校の色校正時では2つの用紙で色校をとりました。

※最初から2種類の色校正をだして確認をすることで、1つずつ取って確認するよりもスケジュールが短縮できます。(費用は2回ぶんかかりますが)
※紙の種類に限らず、インキの種類を数パターン試したり、イラストの元データの色味を変えたり、といったかたちで初回から複数の色校正をとる場合もあります


 

用紙の候補は「NTほそおり プラチナホワイト」「ヴァンヌーボVGスノーホワイト」。
紙が持つ色素等によって、同じ印刷でも刷り出し時に青味が強くでたり、赤味や黄色味が強くでたりと、微妙に異なります。

「NTほそおり プラチナホワイト」は、紙自体にエンボス加工(表面に少し凹凸があるような)のある、紙ならではの手ざわりが楽しめる風合いの用紙です。(よく見るとうっすら紙に凹凸が見えるはず…)

「ヴァンヌーボVGスノーホワイト」は、紙本来が持つラフで柔らかな質感、触り心地もほどよく、印刷に優れたファンペーパーです。また、中に空気を多く含むために軽くても厚みがあります。ヴァンヌーボーにはいくつか種類がありますが、今回は白色度とグロス感のあるVGスノーホワイトに。

 

最終的に「ヴァンヌーボVGスノーホワイト」を採用しました。
1回目の色校正では、人物全体に赤味が強く発色していたため、再校ではその色味の調整とそれ以外の部分も微調整しました。
再校ではその赤味を抑えつつ発色よく刷り出すことができました。

 

◇オビ


 

オビにはカバーでも使用しているピンクゴールドインキに、「エコラシャくろ」という用紙を採用しました。
ゴールドやシルバー系のインキは、印刷時に薄くなったり、発色が難しかったりもしますが、今回は1発で良い濃さになりました。(本作の担当編集がこの1年で担当した作品にこういったインキを使用することが多かったのですが、その際の色校正では1発で求めている濃さや色味がでず再校、三校…を取るということがありました…)
インキと用紙の相性もあるため刷ってみないとわからない、というのが紙の印刷です。

 

◇本体表紙


いくつか用紙候補がありましたが、繊細なイラストの雰囲気とインキの発色や仕上がり具合、予算との兼ね合いから「色上質 黒 超厚口」を採用しました。

こちらの用紙に限らずですが、用紙の種類だけではなく用紙の色によっても費用が変わってきます。
また1枚の用紙から何枚型を取れるかでも必要な枚数が変わるため、それによってコストが変わってくることも。弊社では比較的、担当編集がそのあたりの原価についても計算・把握しながら、作品ごとに制作原価を考えることが多いため、日々数字ともにらめっこです。

色校正での発色が良くとも紙の状態や印刷時期等によって、本番の印刷と色校正時では、刷り具合が変わることがあるため、見本誌がでるまで油断ができません……。

 

◇本文用紙

「フロンティタフ」という用紙を使用しました。「フロンティタフ(少しざらつきがある)」か「オペラクリアマックス(クリーム系で退色しにくい)」の紙で悩んでいたため、著者の田島さんにも意見を求めたところ、2つのなかであれば少しざらつきがある用紙が本作の内容や雰囲気にも合いそうという意見で一致しました。

「フロンティタフ」は、月日の経過とともに紙が日焼けをしたり、色が褪せたりすると「薄っすらクリームっぽく」なっていくため、その風合いが好ましく、紙が劣化してからも良さそうだなと思い選びました。

用紙を選んだあとはさらに斤量(紙の厚み)も考えます。ページ数の多い作品の場合、紙厚がありすぎるとページが開きにくくなったりもするため、読者様方の手元に届いた時のことを考えます。
今回は作中でもベタ(黒塗り)が多いため、裏うつりもしにくい用紙と斤量に。

 

以上、単行本制作時の紙まわりに関する裏側の話はいかがでしたか??
編集者は、毎回作品が出来上がるたびに感動しっぱなしです…!!

ぜひ本書をお迎えして、お楽しみいただけますと幸いです。

一部の書店では、ポスター、小冊子、POPや複製原画なども展示しております^^

 

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2023.12.14 更新/月1連載

次回予告

次回、第八話(青髭②)は12月21日の更新予定です!!

お知らせ

◆12月13日、発売!
『アフターメルヘン(上)』

「めでたし」のその後のご不要品、
どんなものでも回収いたします――。

おとぎの国の各地で役目を終えた「モノ」を回収する
ベテラン職員で面倒見のよい兄ヤコブと
新人職員で兄を尊敬している弟ヴィルヘルム。
彼らが訪れる先々には、廃品に悩む依頼主がいて……。

白雪姫、シンデレラ、ラプンツェル、裸の王様、いばら姫――
不思議なメルヘンの世界を舞台に描く、ダークファンタジー開幕!

単行本でしか読めない描き下ろしショートストーリー4本+描き下ろしイラストを収録!!

※電子書籍も同日配信を予定しております。予約開始までお待ちください。


【担当編集より】
『ヴィクトリアの電気棺』(スクウェア・エニックス刊)著者、田島生野さんによる最新作!
おとぎの国で役目を終えたモノを引き取るとある兄弟の廃品回収物語がはじまります!

見所が満載すぎるため短く語ることが難しいのですが、
登場するキャラクター(メインキャラの兄弟以外にも登場するゲストキャラの魅力)、各話のストーリーと構成力(先が読めないアフター話や深まる謎など)、精緻な筆致で描かれるイラスト(すべての線画、背景、飾りフキダシも手描き)など、
惹きこまれる舞台の世界観と気になる要素とが満載です。

また単行本ならではの描き下ろしのエピソードも各話ごとにあり、
加えて童話感を演出する作品の雰囲気に合った描き下ろしイラストも各話に収録されています。
連載時とはまた違った読後感を得られること間違いなしです!!

メインキャラの兄弟と一緒に作中で各地へ訪れ、メルヘンの世界をお楽しみいただけましたら幸いです。
※カバーを外した本体表紙にも素敵な描き下ろしイラストで彩られています^^

 

◆購入特典情報!

お待たせしました!『アフターメルヘン(上)』書店購入特典情報一覧です。
下記、各書店様にてご購入の方に特典の配布を予定しております。
どの特典も手に入れたいイラストばかりです♪
※特典はなくなり次第終了です

◆『アフターメルヘン』月1連載中!

『アフターメルヘン』は、毎月下旬に更新中!
田島生野さんの既刊、『ヴィクトリアの電気棺』(スクウェア・エニックス)全3巻も発売中です。
こちらもぜひお試し読みくださいませ^^

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◆作品への応援メッセージはこちらから!

『アフターメルヘン』に関するご感想、応援メッセージは、感想フォームから受け付けています。
郵送等でのお手紙は下記宛にお送りください。

〒101-0051
東京都千代田区神田神保町2-4-7 久月神田ビル
株式会社イースト・プレス 田島生野 先生 宛
※どの作品、先生宛かがわかるように明記ください

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◆『アフターメルヘン』公式SNS

作品公式アカウントでは、制作におけるこぼれ話、キャララフなど、作品に関するプチ情報や雑記をつぶやき中!
最新話更新時には素敵な告知絵も投稿中しています!

@after_meruhen

※↑1話と2話公開時の告知絵です。画像をクリックすると各話に飛べます

ハッシュタグ「 #アフターメルヘン 」でもチェック!

単行本情報

 

『アフターメルヘン(上)』
著:田島生野
発行:イースト・プレス
定価:(本体859円+税)

「めでたし」のその後のご不要品、どんなものでも回収いたします――
おとぎの国で役目を終えたモノを引き取る、とある兄弟の廃品回収業者の物語。
単行本でしか読めない、描き下ろしショートストーリー4本+描き下ろしイラストを収録!!

感想フォーム

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著者プロフィール

田島生野(たじまいくの)

漫画家。
著者既刊『ヴィクトリアの電気棺』全3巻(スクウェア・エニックス)
Twitter : @ikunoTJTJ
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作品公式Twitter:@after_meruhen

  • マンガ 募集
  • コミックエッセイの森
  • 【登場人物】

    ヤコブ


    ヴィルヘルムの兄。おとぎの国で廃品回収業者をしている。お客様からの信頼も厚いベテラン職員。優秀で物知り。小さい頃から弟の面倒をよくみている。

     

    ヴィルヘルム


    ヤコブの弟。廃品回収業者として働く新人職員。思ったことが顔や口にでやすい。お調子者だが、兄に絶対の信頼をおき、憧れている。

  • 田島生野(たじま・いくの)

    漫画家。
    著者既刊:『ヴィクトリアの電気棺』全3巻(スクウェア・エニックス)
    Twitter : @ikunoTJTJ
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    作品公式Twitter:@after_meruhen