「今日、なに読んだ(聴いた)?」 連載終了記念 

初日
チャーリー・パーカーのこのアルバムは、学生時代からずっとお気に入りです。
一曲目の、「ウォーミングアップリフ」はその名の通り、ウォーミングアップで吹いていたリフを
録音しただけのものらしいですが、それでこんなに、ぐっと来るんですから、笑ってしまいます。
僕が書きたい小説は、この曲みたいな小説ではないか(とはいえ、どんなものか
説明できないのですが)と時々、思います。
(2010/5/24 チャーリー・パーカー『オン・サヴォイ』)

さっそく『チャーリー・パーカー・オン・サヴォイ』を買ってみました。
伊坂さんが今日これを聴いているんだ、と思ったら気になって。
私の一日も特別になったような気がしてうれしいです。(みゆう)

これって、これからも伊坂さんが毎日書いてくれるんでしょうか。
それなら絶対毎日見にきます。(adirondack)

伊坂さんがCD(&DVD&本?)日記を始められるんですね! さっそく拝見したら、
「僕が書きたい小説はこの曲みたいな小説」とまで書かれていたので、
久々にサヴォイを聴き直してみました。さりげなく始まって、いつのまにか
巻き込まれている(のせられている)感じが確かに伊坂さんの小説みたいだな、
と思います。(高橋純)

生まれて初めて買った、ホーン入りのジャズのアルバムがこれです。
そして、ジャズのアルバムの中で、最も好きなものを選ばなくてはならないとしたら
(そんな無茶な場面があるとは思えませんが)それもやはり、これだと思います。
(2010/7/27 ハンク・モブレイ『ソウル・ステーション』)

ジャズはあまり聞いたことがなかったのですが、この連載を読んでいたら
聴きたいと思うようになり、まずは、ジャズのアルバムで最も好きなものを
選ぶとしたらこれだと伊坂さんが言っていたハンク・モブレイの
『ソウル・ステーション』を買いました。
ジャズの良し悪しはあまりわからないのですが、よく晴れた土曜の昼に、
このCDをかけて掃除や洗濯をするとなんだか楽しい気分になれる、
すてきなアルバムでした。これからも伊坂さんが紹介されていたジャズの
アルバムを少しずつ入手したいと思っています。(利休之助)

エリック・ドルフィーは、”芸術家”という言葉がぴったり来るように思う。
音楽で、抽象画を描いている。
(2010/6/18 エリック・ドルフィー『ラスト・デイト』)

こういうビバップの演奏を聴くと、本当にわくわくしてくる。
洗練されていない、原始的なざらざらとした感じが
僕の好みなんだろう。
だから、そういう意味で、パンクとビバップは、
僕にとっては同じ印象がある。
(2010/11/1 ワーデル・グレイ『ワーデル・グレイ・メモリアル VOL.1』)

ノーベル・ギターリフ賞というのがあったら(ないけど)、
この年は、ここに収録されている、「You are Rock’n Roll」が受賞してるはず。
(2010/6/16 MO’SOME TONEBENDER 『SUPER NICE』)

昨日の続きになっちゃいますが、
ノーベル・ギターリフ賞があったら(ないけど)、この年は
このアルバムに収録されている「ロザリー」が受賞。
(2010/6/17 THE GROOVERS『MODERN BOOGIE SYNDICATE』)

一曲目のリフを聴いただけで、すでに、今年のノーベル・ロックアルバム賞
(ないですけど)はこれか! と興奮している。
(2010/8/4 ROCK’N’ROLL GYPSIES『ROCK’N’ROLL GYPSIES III』)

名曲揃いで、文句のつけようがない。
「シャンデリヤ」は間違いなく、ノーベル・ギターリフ賞受賞だ。
(2010/9/19 THEE MICHELLE GUN ELEPHANT 『High Time』)

ノーベル・ギターリフ賞って! でもバンドサウンドはやっぱリフで決まりますよね。
僕だったら断然ニルヴァーナにあげます。(isao)

高校時代に、アルバイト代で最初に買ったのが
町田町蔵さんのレコード『ほな、どないせぇゆうね』でした。
(2010/6/2 町田康『犬とチャーハンのすきま』)

私は『メシ喰うな!』からリアルタイムで買ってる(歳がばれますね)
筋金入りの町田フリークなので、伊坂さんが高校生のときに……というのを
読んですごい親近感を持ってしまいました(笑)。
入口がそこだったのでなかなかいまの若い子の音がなんとなく
物足りなくてもうずっと新譜は買わずにいたんですが、
伊坂さんがちゃんと新しい子たちの聴いて感動してるのを見て、
私も聴いてみようと最近は少しずつ挑戦しています。(みさっきー)

アナログフィッシュがいることで僕はだいぶ救われている。
(2010/6/7 アナログフィッシュ『Life Goes On』)

伊坂さんがいろんなところでアナログフィッシュが好きとおっしゃって
いるのを見て聴き始めて、いまじゃすっかりディープリスナーです。(F・F)

伊坂さんがアナログフィッシュ好きだと知って、
アナログフィッシュが更に好きになりました。(ラブラドライト)

完璧だ!
このタイミング(前作から短期間)で新作が発表されたことを含め、
演奏から、楽曲から、何から何まで本当に完璧だ! と
思わずにいられない。(あくまでも、僕にとって)。
(2010/11/5 OKAMOTO’S『オカモトズに夢中』)

やっぱOKAMOTO’Sでしょう。
伊坂さん、ライブも観たほうがいいですよ!(やのぴー)

ファーストが出たとき買おうかどうしようか迷って放置してたんですが、
ちょっと前に伊坂さんのコメントを見て買ってみました。
音はほんとすばらしいですね。このパワー、この演奏!
ボーカルに強さがあれば尚よしで今後に期待です。(todo98)

「21世紀になって聴いた中で、一番ぐっと来るパンクロックは?」
と質問されたら(されないですが)、
このアルバムの「リサイクリン」を挙げるような気がします。
(2010/6/11 The ピーズ『赤羽39』)

「もし、自分の葬儀に何の曲をかけるのか決めなさい」
と言われたら(言われないのですが)
「サマー記念日」を挙げるんじゃないかとずっと思っていました。
(2010/6/11 The ピーズ『赤羽39』)

こんなに胸躍るロックバンドは他にいない(何度でも言う)。
(2010/8/15 The ピーズ『マスカキザル』)

いちばん好きな回は8月15日です。ピーズを聴いて伊坂さんが
胸を躍らせ、身体を揺らしているところを想像してうれしくなりました。
そして、「いいコになんかなるなよ」「頑張ったって無理だ」と
口ずさんでいたのをお子さんが真似して歌い始めたというのを読んで、
げらげら笑いました。(シュシュ)

伊坂さんが9/22にTheピーズの「好きなコはできた」の歌詞を紹介していて
それがすごくよかったのでこの曲を聴いてみました。
歌詞をじっくり聴いていると、泣きそうになりました。
すばらしい曲を紹介していただいて感謝しています。
私も恋愛とかしようと思います。(うにまる)

誰が何と言おうと、僕にとっては特別なバンドだ。
OKAMOTO’Sの時にも書いたけれど、ロックンロールは進化しない、
それでいいんだ! と思う。(というよりも、ヒロトとマーシーは
どんどん原始的なところに行ってるんだけれど)
(2010/7/5 ザ・クロマニヨンズ『MONDO ROCCIA』)

一曲目のギターの刻み方? とか心地良いし、「うおーかっこいー」と
自分も若くなった気分で、興奮しました。
(2010/6/12 黒猫チェルシー『猫 Pack』)

伊坂さんが黒猫チェルシー聴いててくれたのが、自分としてはすごい
うれしかったです。超好きなバンドなので。前のアルバムもよかったけど、
やっぱ『猫 Pack』が一番良くて、特に「ファンキーガール」が
めっちゃツボです。(ogumi)

サンボマスターはやはり、かけがえのないバンドだ。
昔のアルバムでは、早撃ちの荒っぽいガンマンが、悪者をばんばん撃っているような
そんな印象だったのが、このアルバムでは、ガンマンが銃をしまって、投げ縄で、
悪者たちを生け捕りにしているようなそんな雰囲気がある。
(2010/7/26 サンボマスター『きみのためにつよくなりたい』)

なんだかもう世の中には不安ばっかりで、暗い気持ちになることが多いのですが
<大大大大大好き、ニュースのおねえさん>と絶叫する
「ニュースのおねいさん」を聴いていると少し、元気が出ました。
(2010/9/3 KENZI&THE TRIPS『REAL BEAT PUNKへの道』)

時々、聴くと、何だか温かい感覚に包まれ、優しくなれるような
気になります。が、実際には、優しくできなかったりします。
(2010/8/23 馬の骨『馬の骨』)

こないだの伊坂さんの、優しくできなかったりします、には超笑いました。
私もできません(笑)。(treats)

the HANGOVERSはとても貴重なバンドだと思う。
ポップだけれど、どこかサバサバしていて、派手さがない分、飽きない。
たとえば、「着ぐるみとバルーン」を聴くと、
その可愛らしさとポップさに、幸せな気分になる。
(2010/7/7 the HANGOVERS『the portable terminus』)

貫禄も、若々しさも、恰好よさも、可愛らしさも
くだらなさも、技術も、荒々しさも、大衆性も、作家性も全部ある。
メジャーなアーティストだけれど、マニアックさもあって、
どうしたらこういう存在になれるんだろう。
(2010/8/5奥田民生『OTRL』)

「歌うために生まれきたかのような声」といった言い回しは
あまりに使い古された決まり文句のようで、苦手なのですが、
実は僕自身が、そういったストーリーの短編を書いたことがあったりします。
それを書いていた時、拠り所となったのはUAの声でした。
(2010/7/31 UA『ATTA』)

O君が、「グリーンマシーンを聴かないなんて、
ほえづら、かきますよ」と言ってきた。
(2010/6/27 GREENMACHiNE 『THE EARTH BEATER+3』)

ときどき登場する、とても音楽に詳しいO君という人はどういう方なのでしょう。
私は勝手に、映画『フィッシュストーリー』に出てきた
レコード店の店長(大森南朋)のような方なのではないかと
想像していました(イニシャルもOだし)。(麻美)

勇気を出せ、と励まされているような、金を出せ、と脅されているような、
いつも不思議な気分になります。
(2010/6/1 bloodthirsty butchers『birdy』)

6月1日の日記が、とても伊坂さんらしくて、
まるで小説みたいとお話を想像してしまいました。(アネット)

右と左で、ぎゅいんぎゅいんと絡み合うギターは、
何年聴いても飽きなくて、ジャケットは可愛らしいし、何だか、
身近に起きた奇跡(と言うと大袈裟だけれど)のようです。
(2010/5/28 Matthew Sweet『Girlfriend』について)

とにかく、(僕にとっては)最高のロックンロールアルバム
としか言いようがない。
(2010/6/13 エディ・アンド・ザ・ホット・ロッズ『Doing Anything They Wanna Do』)

このアルバムは本当に、一曲目から大きな物語を観ているような感覚がする。
一人暮らしの時、夜にぼーっと聴いていたのを思い出します。
(2010/6/19 パット・メセニー『Secret Story』)

学生の頃、夜、眠る前に、不安だらけの将来のことを考えて
嫌になってしまうとよくこのアルバムを聴きました。
たぶん、アルバムの、「I’m Lucky」という響きに縋る思い
だったのかもしれません。
(2010/8/7ズート・シムス『If I’m Lucky』)

私にとってはそれが、Bill Evansの『Waltz For Debby』です。いまでもなんとなく
気持ちがふさぐときはこれを聴いて、少しずつ気持ちを回復させています。(倫子)

この連載を読むたびに、”ミュージック”を愛する死神の千葉さんのことを思い出しました。
CDショップで試聴して選んだことなどを書いている回はとくに。
ちなみに私はCDショップで熱心に試聴している男の人を見かけると、
死神かもしれないと思ってじっと見てしまいます。(山口)

伊坂さんの作品は常にチェックしているので、これもチェックせねば!と
『マトグロッソ』さんでも毎日チェック。結構片っ端から聴いたり、みたりして
今まで触れることのなかった音楽等に出会えてとても楽しかったです。
約半年間、お疲れ様でした。(mcpai)

ベタと言われようが、「クレオパトラの夢」を聴くと、いいなあとしか思えません。
伊坂さん若いのに、って、私だってリアルタイムで聴いちゃいないけど、
一番意外で納得でした。息子に文庫で『ゴールデンスランバー』出たよと、
今日電話で教えてあげました。(shes_inn)

伊坂さんの作品全部読んでいます! 大好きです! おとぎ話やオカモトズを
はじめ幅広い音楽を聴いてらしてびっくりでした! 作品中にロックや音楽が
たくさん出てくるのもたくさん聴いてるからでしょうか、またこの企画
やってほしいです!(asunaroaako)

私は音楽にあまり詳しくないので、伊坂さんの作品を読んでいて曲のタイトルや
ミュージシャンの名前が出てきても、すぐにはイメージすることができず、
もっと音楽を知っていたらと悔やまれることが多くありました。伊坂さんの作品を
より楽しむために、もっと音楽に詳しくなりたい!と思っていたので この連載を
毎日楽しみにしていました。(長沢道子)

伊坂さんは、落ち着いている方だという印象だったのですが、子どものように
興奮している回が度々あって、伊坂さんのイメージが変わりました。というか、
ますます伊坂さんが好きになりました。(佐那)

伊坂さんは暗い気持ちや不安な気持ちになったときに音楽を頼りに
しているのだと知って、この世に音楽があってよかったなと思いました。
私はそういうときはお笑い番組を見るので、この世におもしろい芸人さんが
いてよかったなと思うときがあります。(kabosu)

バイバイブラックバードの企画の際にオススメしたCDを聴いて頂きました。
「薦めてもらったものを聴いてみました!」の一言だけでしたけど(笑)、
敬愛する作家さんが、敬愛するアーティストのCDを手に取ってくれたという、
ちょっとでも繋がったこの現実がとても嬉しくて幸せでした。ありがとうございました。
音楽の趣味が合わない人とのドライブってちょっとキツかったりします。
「なんでこの景色を眺めながらこの音楽を聴かなくちゃいけないんだろう…」って。
きっと、伊坂さんとドライブに行ったら楽しいんだろうなぁっていうアーティストが
並んでいて、改めて伊坂さんのことが好きになりました。そして、だから
伊坂さんの小説が好きなんだなぁって思いました。(みき)

音楽について書かれている連載ではありましたが、伊坂さんが言葉に対して
持っている独特の視点も楽しむことができました。「アート・ペッパー」を聴いて、
「芸術胡椒」と「芸術農夫」で作品が作れないかと考えていたり、「Sorry,she’s mine」を
聞きながらどんなシチュエーションで「Sorry,she’s mine」なんて言うのかを想像したり
「スポーツカー」と「スーパーカー」って微妙に印象が違うんだなと思ったり、
尾崎豊の書く詞にはっとさせられていたり。こういう音楽が、伊坂さんの小説に、
直接ではないかもしれないけど繋がっているのだと感じました。(powder)

今日聴いた音楽について書いているのに、伊坂さんの高校生のときの思い出
(通学中に自転車で尾崎豊を聴いていたこと、アルバイト代で最初に買ったのが
町田町蔵のレコードだったこと、夜に「フォークの神様」や「かかしの王様ボン」を
聴いて怖かったことなど)や、会社員だったときの思い出(残業で遅く帰ったあとに
『cult grass stars』を聴いて幸福な気持ちになったことなど)まで書かれていて、
伊坂さんの過去が想像できて楽しかった。そして音楽にはそうやって、人の過去を
思い出させる力があることをあらためて感じた。(黒豆)

毎日毎日、伊坂さんは今日なにを聴いてるのかなと覗きにくるのが午後の
習慣になっていたので、もうすぐ終わると知ったときには、呆然としてしまいました。
ローランド・カークやバド・パウエルは大好きだったけれど、ワーデル・グレイや
フラナガンには、伊坂さんのおかげで出会いました。
選ばれる音楽で、伊坂さんのその日の気分がなんとなくわかるような気もして、
まるで伊坂さんと会話をしているようなそういう半年間でした。
少しお休みして、また再開してくれたら・・・・・・とはつい思ってしまいますが、
それでもこの間、日本のロックのコーナーなんてそれまで自分では行ったことなかったのに
ひとりで行くこともできるようになったので、この習慣は続けてみようと思います。
半年間、ありがとうございました。おつかれさまでした。(みちる)

この半年間、毎日、あるいはたまにでも、この日記をのぞきに来てくださったみなさま、
本当にありがとうございました。
伊坂さんが「今日、なんとなくその曲を聴いた」ことが、読んでくださっているかたの毎日と
少しずつ繋がっていく、そんな様子を見るのはとてもしあわせなことでした。
伊坂さんにはこれからもいろんな形でご登場いただければと思いますので、
これからも、どうぞよろしくお願い致します。
                                ―――編集部

  • マンガ 募集
  • コミックエッセイの森
  •   『ソウル・ステイション』(ハンク・モブレイ)  
      
      『Memorial 1』(ワーデル・グレイ)
      
      
      『Life Goes On』(アナログ・フィッシュ)
      
      
      『オカモトズに夢中』(OKAMOTO’S)
      
      
      『赤羽39』(The ピーズ)
      
      
      『Secret Story』(パット・メセニー)』
      
      
      『If I’m Lucky』(ズート・シムス)』
      
  • 伊坂幸太郎(いさか・こうたろう)

    1971年、千葉県生まれ。作家。00年『オーデュボンの祈り』(現在新潮文庫)で新潮ミステリー倶楽部賞を受賞しデビュー。04年『アヒルと鴨のコインロッカー』(創元推理文庫)で吉川英治文学新人賞を受賞。08年『ゴールデンスランバー』(新潮社)で本屋大賞、山本周五郎賞を受賞。近著に、『マリアビートル』(角川書店)、『バイバイ、ブラックバード』(双葉社)、『SOSの猿』(中央公論新社)、『オー!ファーザー』(新潮社)など。