7月17日発売、スクールガール・コンプレックス最新作は
女の子の女の子による「かわいいスカートのめくりかた」。
ゲストに菅本裕子さんを迎え、作品の背景を語っていきます。
女の子が女の子として、ただただかわいく、
楽しそうにしているところを撮りたかった。
青山:今日は新作の写真集「かわいいスカートのめくりかた」をめぐって、ミスiD2016準グランプリの菅本裕子さんとお話をさせていただきたいと思っています。よろしくお願いします。
菅本:よろしくお願いします! でもわたしなんかでいいんでしょうか。特にこの本に関わっていないのに。
青山:全然大丈夫です。ところで菅本さん、最近すごい人気ですよね。女子に。
菅本:ありがたいことに……でも今までこんなことなかったから、とまどってます。「なんで好きになってくれてるの?」って。アイドルのときは男性のファンがほとんどでしたけど、いまは7割近くが同世代の女の子で。
青山:ミスiDのときのコメントで、僕が菅本さんのことを「ネオぶりっこ」って言ったんですよね。めいっぱいかわいくして、異性の気を引こうとしているのに、むしろ同性に支持されるという。そのあたりが「ネオ」。
菅本:ありがとうございます(笑)。本当に、ミスiDで準グランプリいただいてから、ファン層ががらりと変わりました。
青山:それはきっと、女の子の本音を代弁してるからだと思うんです。「異性にかわいく見られたい」っていう、それは女の子にとって当たり前のことなのに、はっきりそう言えない空気がありますよね。
菅本:だって、絶対モテたほうがいいじゃないですか(笑)。モテたいし、「この子かわいいな」って思われたい。男の人に対しては、何をどうしたらいいかっていうのはある程度わかるんですよ。でも女の子に好かれる方法はわからないから……みんなすぐにどっか別のところに行くんじゃないかって(笑)。今はだいぶましになりましたけど、むかしから女の子は苦手で、どうコミュニケートすればいいのかわからないんですよ。
青山:僕もわからない(笑)。そんなわけで、この「スクールガール・コンプレックス」っていうシリーズは、もともと僕のそういう部分がベースにあるんですね。思春期の……要するに童貞的な感覚ですよね。童貞をこじらせた男の子が、同じ年くらいの女の子を、憧れと畏怖をもって見ているっていう感覚。それが1、2巻のコンセプトだったわけです。
菅本:あー、童貞。いいですよね童貞。
青山:そうなんですか(笑)。
菅本:童貞の男の子って、誠実じゃないですか。嘘をつかないでしょう、基本的に。
青山:なるほど。それで3巻目は「女子校」っていうテーマで撮ったんです。1、2巻で女の子をちょっとわかった気になったけど、でもやっぱり女の子は謎なわけですよ。特に女の子と女の子が一緒になると、もう太刀打ちできない感じがあって。例えばですけど、女の子同士って初対面でもすぐにLINEを交換したりするじゃないですか。すごい仲よさげなんだけど、「……それってほんとかよ?」って思って(笑)。
菅本:わかる! すっごいわかります。わたしもそういうとき、どうしたらいいかわからない。こう、急に距離を詰められると「えっ? えっ?」てなっちゃう。それに女の子って、けっこう表と裏で言ってることが違ってたりするんですよ。
青山:ですよね(笑)。
菅本:表で仲いい感じにしてるのに、裏でものすごい悪口言ってる人とか余裕でいたりするから……。「自分のいないところでこんなふうに言われているのかなあ」って思うと怖いですよ。実際、中学のとき女子クラスだったんですが、3つくらい派閥があって、自分はそのどこにも入らないで孤立してたから。
青山:でも今も女の子の友達がいないわけじゃないですよね?
菅本:もちろんそのときでも本当に仲いい子はいたし……ミスiDのときもあんまり女の子と馴染めなかったんだけど、一人だけ、保紫萌香ちゃんと仲良くなったんですよ。そしたら2人で準グランプリ、グランプリってなったから「えーっ!!」って。
青山:共通する何かがあるんでしょうね、きっと。でもそう、女の子同士って裏の部分もあるかもしれないけど、あえてそこを見なくてもいいんじゃないかなっていう気にもなってきたんですよ。女の子のことは相変わらずわからない。わからないけど、もうそれでいいやと。題材は「スカートめくり」なんですけど、女の子が女の子として、ただただかわいく、楽しそうにしているところを撮りたいっていうのが、今回の裏テーマなんです。
だんだん変なテンションになってきて、
みんなただただ爆笑してめくりあってた。
菅本:自分はこんなふうには女の子とキャッキャできないから、この輪に入っていけないというか、なんだか……見ていて照れますね。
青山:それはでも、男の子の視点に近いかもしれない。
菅本:あー、そうかも。(写真を見ながら)……パンツ、見えそうで見えないですね。
青山:見えそうでなくて、見えそうで、でもやっぱり見えそうでなくて…という(笑)。いちばん最初は、パンチラありきでも撮っていたんですよ。でも途中で、それは全部ボツにしました。
菅本:なんでですか?
青山:やっぱり、パンツを見せることが目的になっちゃうから。「スカートめくり」っていう行為そのものじゃなくてね。それに見えてしまうと、想像力がそこでとまってしまうからっていうのもある。ずっとパンチラが写ってると、途中で絶対に飽きるからっていうのもあるしね。
菅本:童貞だったら心の目で見えるかもしれない(笑)。……でもこの写真、見えてないですか?
青山:探せばそういうのもあるかもしれないですよ(笑)。
菅本:こっち(写真集の左側ページ)の写真は連続してるんですね。パラパラまんがみたいでおもしろい。
青山:そうそう、連続写真なんです。3人の女の子が、バトルロイヤルでスカートをめくりあってるところで、時間にすると10分間くらいかな。スカートめくりって、めくられたほうが一応劣勢になるわけだけど、だんだんみんな変なテンションになってくるんですよ。何が勝ちか負けかわからない、どこに向かうのかもわからない、みんなただただ爆笑してめくりあってるのを、自分はちょっと離れたところで撮っているだけっていうね。そういう意味では女の子の、ピュアな部分を抽出できたのかもしれない。まあ、それも幻想かもしれないんだけど(笑)。
菅本:なるほどー。
青山:右ページはスカートめくりのバリエーションを撮っていて…こっちはいろんなパターンで試行錯誤して、3年間くらいずっと撮ってました。
菅本:この写真……すごいですね。これ、自分のいちばん仲いい友だちとでもできないし……。恥ずかしいじゃないですか。見せ合ってて……なんか、「見せ合い」っていう言葉自体がエロいなって(笑)。「見せ合い」ってすごくないですか? 「見せ合い」って、単語だけですごいですよね。すごい、「見せ合い」……
青山:何回言うんですか(笑)。
菅本:でも幼稚園のころとか、裕子も自分でスカートめくってましたからね。
青山:どういうことですか。
菅本:めくったっていうか、幼稚園に遊具とかあるじゃないですか。それに先に登って、下から登ってくる男の子にわざとパンツが見えるようにしてたりとか……ヤバいですね(笑)。ヤバい!(笑)
青山:それはもう、そうすれば男の子が喜ぶと知ってて?
菅本:あははは(笑)。
青山:まあ菅本さんみたいに、そこまで全部さらけ出してやってくれると、むしろわかりやすくていいんですけどね。男としては。
菅本:つきあいたいと思った人には、ガンガンアプローチしちゃいますね。でもわりと…その人のどんなダメなところも好きになっちゃうのが、わたしのダメなところなんですけど。ダメにしちゃうんですよね、相手を。そのダメなところさえ愛しいと思ってしまうところが、もう本当にダメなところで(笑)。今はさすがに反省して、そういうのはやめたんですけど。
青山:自分は高校生のときに初めて付き合った女の子が、裏では他の同級生とか、それに先生ともできてたくらいの超ヤリマンだったことがのちにわかって……。
菅本:うわあああ。
青山:それで女性不信になった部分があるんだけど。でもじゃあ女の子のことを100%信用していないかというとそうじゃなくて、逆にどこかで強烈に「信用したい」っていう気持ちがあるんだと思うんですよね、自分のなかに。だからずっとこういう写真を撮り続けているんじゃないのかなあ。
菅本:わかります。
青山:だから菅本さんも、女の子が苦手っていうのは、逆にどこかですごく女の子のことをわかりたい、仲良くなりたいっていう気持ちが、ひょっとしたらあるのかもしれないですよね。
菅本:(うなづく)
写真の中に綺麗に閉じ込められた少女たち。
見ている自分も抜け出せなくなりそうで、
だからこそまた見たくなる。──森川葵(女優)
「かわいいスカートのめくりかた」
SCHOOLGIRL COMPLEX 4
撮影:青山裕企
装丁:川名潤(prigraphics)
イースト・プレス刊/1,790円+税
A5判変形・並製/全160 ページ(オールカラー)
7月17日全国発売
『かわいいスカートのめくりかた SCHOOLGIRL COMPLEX 4』
発売記念展が開催されます。
発売記念展が開催されます。
会期 | 2016年7月22日(金)~7月31日(日) |
休廊日 | 月・火曜日 |
開廊時間 | 13:00~19:00 |
会場 | YUKAI HANDS Gallery(ユカイハンズ・ギャラリー) |
住所 | 〒112-0014 東京都文京区関口1-30-9 |
有楽町線「江戸川橋駅」1a出口より徒歩10分 | |
東西線「早稲田駅」1出口より徒歩10分 | |
都電荒川線「早稲田駅」より徒歩7分 | |
電話 | 03-5761-6760 |
入場料 | 無料 |
協力 | イースト・プレス |
2016/07/14 更新