小説にサウンドトラックはあり得るか 菊地成孔 第1回 金原ひとみ 膨大な知識と溢れる妄想力で、創造物の恵みを十二分に味わいつくす天才・菊地成孔が、新たな試みに挑んだ。小説の記憶が求める音を掬い上げ、想像のなかで戯れるという、これぞ至福の試みだ――あなたもどうか感じてほしい、物語が終わったときに立ちのぼる音楽を。


『憂鬱たち』(金原ひとみ)
主人公・神田憂。憂鬱の「憂」を名前に持つ彼女は、家を出て精神科へ向かおうとするたびにトラブルに見舞われる。行く手を阻むのは、カイズ、ウツイという謎めいたふたりの男。暴走する主人公の饒舌さが生み出すグルーヴがくせになる、金原ひとみ史上最高にユーモラス(かつエロティック)な連作短編集。大傑作!




『DEVIL’S MUSIC』(ニコラス・コリンズ)
AM・FMラジオ放送をサンプリングし、容赦なくぶった切りつなげた猛悪実験作品。 ニコラス・コリンズは、80年代初頭から活躍する実験音楽作家で、本CDは、1985年に発表したオリジナルLPの音源と、そのリミックス版「Real Landscape」(87年)、発展形である「The Spark Heard‘ Round The World」(未発表)を追加したデラックス版。

菊地成孔(きくち・なるよし)

1963年、千葉県生まれ。音楽家、音楽講師、文筆家。84年にプロデビュー。その後、デートコースペンタゴン・ロイヤルガーデン、SPANK HAPPYなどのグループを主宰、現在は菊地成孔ダブ・セクステット、菊地成孔とペペ・トルメント・アスカラールで活動中。著作デビューは03年『スペインの宇宙食』(現在小学館文庫)から。対象は音楽、映画、料理、服飾、格闘技と幅広い。 近著に『ユングのサウンドトラック』(イースト・プレス)、大谷能生との共著で『東京大学のアルバート・アイラー』(文春文庫)、『アフロ・ディズニー』(文藝春秋)など。
2010年9月には『アフロ・ディズニー2 MJ没後の世界』と、菊地成孔の00年代の音楽家としてのベストワークス「闘争のエチカ」(上下)も発売になった。