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さらに詳しく文字解説

この研究のここがスゴッ!

Lab:018b 早稲田大学 坂井滋和研究室




「超高解像度CGのめくるめく世界」


 坂井先生の研究・活動は、CGの発展とともにあった、と言えると思います。冒頭に紹介した飛行機の映像は、ニュース映像にCGを用いた国内でも最初期のものです。さらにいえば、CGの発展=コンピュータの発展でもあります。坂井先生のお話のなかに出てくる「4Kシネマ」。これは、画面のドット数が横方向4000×縦方向2000という解像度の映像です。今回坂井先生が作品を作られた渋谷のプラネタリウムは、さらに縦方向を倍にした4000×4000というドットの数で、その高解像度の画像を1秒間に30枚も作らなければいけません。データ容量は、5分間でなんと1テラバイトのディスクがいっぱいになってしまうそうです。

 ここ最近、家電量販店などで聞くようになってきたテラバイト(TB)という言葉ですが、20年以上前からコンピュータを使っている私には目が飛び出るような数字です。CDだと1500枚以上、フロッピーだと約2000万枚! という巨大な容量なんです。それをわずか5分間の映像で使いきってしまうのですから、記憶媒体もさることながら、その映像を処理するコンピュータの発展がなければ観られなかった映像なのです。
 名古屋にあるプラネタリウムはさらに高精細な、なんと8K! いったいどれだけの容量になるのでしょう。皆さんぜひ一度、観てみることをおすすめします。動画映像は8Kを超えると裸眼同様に観えると言われていますが、目の前の景色は、デジタルにするととんでもない容量になるんですね。ちなみに、にっぽんスゴッ研究所の映像は5分間で約40MBです......。

 坂井先生が切り開いてきたCGの世界は、解像度だけではなく、より現実に観えるための工夫を、数多く積み重ねてきてはじめて成り立っているものです。質感、動き、重さなど、ここではとても紹介しきれない、いくつものトライアルのうえに、今日のリアルなCG世界が出来上がっているんです。その根本には物理演算など絵を一枚一枚描くのではなく、仮想空間のなかでコンピュータが実際の動きを再現させる技術と、それをどう応用していくかというノウハウがあります。
 さらに坂井先生は、これからはどれだけ最新情報を取り入れていけるかが勝負だとおっしゃっています。例えば、アルフレッド・P・スローン財団が援助しているスローン・デジタル・スカイサーベイというプロジェクトでは、詳細な宇宙の地図を提供しています。今回ご紹介したCGもそれを活用して作られています。そういった研究データは、実はネット上に豊富に存在しています。坂井先生は、CGアーチストたちがそのデータを使いこなせていないことを「もったいない」とおっしゃっています。
 アーチストがこれまで以上に科学に興味を持ち、優れたデータを活用し、いままでは最先端の専門家にしか見えていなかった未知の世界を個性豊かな方法で私たちに示してくれたら、とても素敵ですね。その教育活動も含めて、坂井先生のこれからに期待したいと思います。

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