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さらに詳しく文字解説

この研究のここがスゴッ!

Lab:020b 明治大学 宮下芳明




誰でもプログラムが書ける社会へ」


 明治大学宮下先生の研究、ご覧いただけましたでしょうか。今回ご紹介させていただいた、「サンプリング書道」「HMMBB」「AV-Cable」「HMMMML」という4つの研究に共通するのは、宮下先生がおっしゃっているとおり、「表現したい人を支援する」という部分です。難しいことをできるだけ簡単にできるように、工夫を続けています。「楽しいぞ!」という感じが全力で伝わってくるのは、宮下先生ご自身がものすごく深い興味と好奇心で、研究を心の底から楽しんでいるからでしょう。
 宮下先生の研究を見ていると、コンピュータの面白さや可能性はまだまだ広がっていくぞ! と強く思います。

 宮下先生の研究で、私がとくに興味を持っているのは、間違えてもいいプログラミング(=人間のミスをソフトウェアが自動的にフォローしてくれる)です。先生は「好意的解釈」という言葉を使っておられました。この考え方は、プログラムを書くエンジニアだけではなく、インターフェースを使うすべてのユーザーに関係してきます。
 ヒューマンエラーという言葉がありますが、人間は間違えるということを前提に、インターフェースはデザインされるべきです。ひとつの操作が致命的な問題に発展しないよう、すべての機械のなかに、簡単に工程を戻ることができたり、あとで確認することができるような仕組みを組み込んでいく必要があると思っています。
 宮下先生の研究では、「作る」ということへのハードルを下げるために、この「好意的解釈」という考え方を採用していますが、何かを作る前提部分にすでにエラーを吸収するような考え方が盛り込まれているということは、そこから生み出されていくものにも、その考え方が反映されていくことになると私は思います。
 まさに宮下先生が言っておられた「表現したい人を支援する」ための環境作りのために、この「HMMMML」は作られたのではないでしょうか。人に優しいものを作るには、人に優しい環境やシステムが必要なのです。

 この「環境」について、宮下先生はなんと、いま「大学」という究極の環境まで作ってしまおうとしています。大学に所属している先生がたにとっては、当然のことかもしれませんが、ご自分の研究と平行して、「教育」も大事な任務です。いかに優秀な人材を育てるか、またその環境を作っていくかを常に考えています。研究と教育のバランスや両立のさせかたは人それぞれだと思いますが、宮下先生の手にかかると、その「教育」も興味の、研究の対象になっているようです。大学の仕組みやカリキュラムのデザインを語っておられるときの表情が、研究を語っているときと同様にとても熱く、楽しそうであります。それだけに、これからの宮下先生の活動がとても楽しみです。とんでもなく新しいアーチストやエンジニア、はたまたムーブメントまで生み出してしまうのではないかという予感がします。

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