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Lab:027b 慶應義塾大学 山中デザイン研究室




「知恵を集めるというデザイン手法」


 今回ご紹介した、慶應義塾大学 山中デザイン研究室、山中俊治先生は、工業デザイナーであり、エンジニアでもあります。エンジニアの目線を持ってデザインしていく、もしくは、デザイナーの目線からさまざまなものの在り方を考えて、エンジニアリングしていくという活動を続けておられます。言葉にするだけならば、簡単なことかもしれませんが、それを実践されているところに、この研究室の特色があります。

 山中先生は、日産自動車からデザイナーとしてのキャリアをスタートされ、フリーになってからは、カメラやSuicaの改札機など、さまざまなプロダクトのデザインをされてきました。慶應義塾大学SFCの先生になってからは、さらに広い領域を見渡して、のびのびとデザインしていると、私には思えます。
 義足、宇宙船、新しい生き物(ロボット)など、どれも未来を感じさせるものでありながら、美しく、どこか現実的な存在感があります。デザイナーの手が入っていないところに踏み込んでいくと、こんなにも魅力的な世界が開けるのだということを、山中先生は示しています。さらに、「作り出す」ということの新しい意味を考えさせられます。
 
 山中先生は、取材のなかで、SFCという学校についても語っておられましたが、新しいことに取り組むという教育を20年以上前から実践し続けてきた学校自体の姿勢があるからこそ、山中先生の研究ものびやかに、多領域にまたがる活動ができているのだと思います。さらに、先生は「SFCは知恵の集め方を教えている学校」だとおっしゃっていて、それがまさに、これからのデザイナー像を描き出しているといえるでしょう。デザインとエンジニアリングという二項だけではなく、もっと多様な融合の先にあるデザインを、山中先生は目指されているだと思います。

 ちなみに、にっぽんスゴ研究所でご紹介した理化学研究所藤井先生、脇坂先生チームが開発した代替現実(SR)システムのヘッドユニット、通称エイリアンヘッドは山中先生のデザインです。
 さらに、ご存知の方もいらっしゃると思いますが、THEアーチストのコーナーでご紹介した、デザインエンジニア緒方壽人さんは、山中先生のお考えを実践している、お弟子さんです。

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