#102 蝶とネムノキ

#102 蝶とネムノキ

今朝も快晴、まことに気分がよろしい。

さっそく散歩にでかけると、
あ、散歩といっても私の場合は
のんびりとした普通の散歩ではなく、
一脚に付けた大砲みたいなレンズを肩に背負って、
汗だくでテクテク歩き回るという、
一見なにかの修行か、
はたまた刑罰みたいな感じのやつ、
それが私の散歩です。

で、今日もそんな散歩にでかけたところ、
七羽ばかりでくつろぐエナガの群れに出会いまして、
そのエナガ群を追って15分くらい歩いたところ、
林の中にそっと花をつけたネムノキで、
数頭のミヤマカラスアゲハが蜜を
すすっているところに出くわしました。

ナムノキというやつは、
葉も花もとても可憐で繊細で現実感が薄く、
さらにはその周りを音も無くヒラヒラと飛び回る
黒くてキラキラ輝く蝶たちよ。
あぁ、これは夢か幻か、まるで桃源郷のような…
と思ったのも束の間、
肩に食い込む大砲の重さに、
すぐ現実に引き戻されるわけです。

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  • 松原卓二(まつばら・たくじ)

    1965年兵庫県生まれ、静岡県在住。富士山麓標高約1000メートルの別荘地にてコンピュータ・ゲームソフトの開発を生業としつつ、大好きな動物たちの写真を撮る毎日を送っている。写真集に『笑顔のどうぶつ園』メディアファクトリー、『りすぼん』集英社、『モフモフ家族』東京書籍、『動物オメガ図鑑』『動物アルファ図鑑』マガジンハウス。「かわいさ」と「おもしろさ」をテーマに、動物たちの顔や体、しぐさなどをつぶさに観察するという独自のスタイルで、写真集を発表し続けている。